これも実によく言われることばである。確か、このコーナーの扉ページにもサイトのトップページにも、この言葉が書いてあったような気が…。あなたが誰かにあることを伝えようとして、あなたの伝えたそのことと全然違う行動をその相手がしたので問い質すと「だって、あなた……だって言ったでしょ? それってこうこうこういう意味じゃなかったの? わたしはそう解釈したんだけど…」みたいな答えが返ってきた時などに「日本語ってむずかしいね…」てな感じで半ばあきれ気味につぶやいたりすること、よくあるのではないだろうか? そういう場合って、明らかな言葉の間違いがどっちか一方にだけあることってまずない。たいていの場合は伝える方の言葉の使い方も正しいし、伝えられた相手の取り方も、言われてみれば(←ここ重要)そういう解釈も確かに可能だという範囲内のものである。「だって、わたしたちの関係なんだからその辺のニュアンスはわかるでしょ(--;)」なんてのは伝える方の独りよがりにすぎない。やはり伝達というのは相手に正しく伝わってこそ伝達なのだから、伝える側の方に相手に正しく理解させる責任があるのだ──その意味ではこの「日本語って難しい」は伝達者の責任を日本語に転嫁してるとも言えるが、まあそこまで言っては可哀想だろう。確かに自分の意図通りに完璧にものを伝えるのは簡単なことではない。 僕がこの言葉でこだわってるのは実は難しいうんぬんではなく「日本語って」の部分なのである──あなたが正しく伝えそこなったその言葉、英語圏の国の人同士で英語で伝えれば間違いなく伝わるだろうか? フランス人同士ならどうか? ハングルでは? ギリシャ語だとどう? 正しい伝達が難しいのは決して日本語だからではない、何語で伝えようが簡単なものは簡単だし、難しいものは難しいのである。むしろ欧米人などは上述の「わたしたちの関係でのニュアンス」などという日本的以心伝心が通用しにくい分、日本語よりも難しいと僕は思うぞ…。 確かに言語学的に見ると、主語述語と修飾語などの順序やら尊敬語と謙譲語の区別やら、世界各国の言語の中でもけっこう難しい部類にはいるらしい(ただ、これは難易度の基準を英語においていて、文法の組み立てが英語のそれとのかけ離れ具合が他の言語よりも大きいからそう思われてるだけで、実はそれほどでもないのでは、と僕は思うが)。だけど、巷で使われる「日本語って難しい」は決して日本語のせいではない。これは間違いない。 「じゃ、このコーナーのタイトル『その日本語に気をつけろ!』はどうなのよ?」…はい、そうですよね(^^;)。ここまでの各記事で取り上げた言葉たち、英訳したってロシア語訳したって、多分意味はあまり変わらないと思います。ただここで『言葉に気をつけろ』だと相手を下に見て俺様に敬語を使えみたいな意味に聞こえそうなので、単語や熟語、諺などの意味をよく理解してそれらの言葉を使えよって意味でつけたタイトルなのですが、昨今の日本語ブームの中、やっぱ違う意味に解釈されても仕方ないですよね──ああ、日本語って難しい(爆)。 |