何年かぶりで新幹線で京都駅に着き、ホームに降り立って烏丸口側を見やり、愕然としてしまった! 何なんだ、向こう側の景色を遮断して立ちはだかるあの黒っぽい障壁は──って、それが新しくできた駅ビルであることはもちろん知ってます。その4年前の秋に当時の仲間と京都を観光した時にはすでに旧駅ビルの取り壊しが始まってて土産物売場も仮設だったし、新駅ビルもテレビや雑誌では何度も見てたから。…とはいえ、それまで京都駅のホームに停車する新幹線の窓から見えてた、京都タワーだったり雑居ビルだったり本願寺の屋根だったりという光景になじんでたものだから、同じ方向を見やっても黒い壁しか見えないというのはやはりちょっと戸惑いました──現在の京都駅からはこんな詩は思いつかなかっただろうな、きっと…。 この『いつ街』はあくまでも駅前及びその周辺の散策レポなので、京都駅から離れてる清水寺や嵐山などの観光名所や河原町とか先斗町などの繁華街はとりあえずおいといて…、この新駅ビルに初遭遇したのは亡父の7回忌で兵庫県へ向かう時であった。ここから山陰本線に乗り換えて特急で約2時間ちょっとの場所である。で、その帰りに京都から、予定の新幹線の時間までだいぶ間があったので、母と弟連れではあったが、ちょこっと改札抜けて新駅ビルを見てみることにしたのだ。この建物はショッピングだけでなく、催し物イベントなど多目的に使用されるものらしい。その日も休日ということもあって、かなり多くの人(主に若者)でごった返していた。これだけどでかい建物がどの階も人、人、人なわけだから、その日の京都駅ビル内の人口は果たしてどのくらいあったのだろうか…? 屋外のデッキでも何やらイベントらしきものをやってて、その時は俳優の伊吹吾郎氏が立ち回りか何かを披露してた。階段通路がそのまま客席を兼ねてるのか、腰を下ろして見物してる客でいっぱい。別の場所では地元ラジオの公開録音か何かをやってるようだった──それまで京都にはこの種の若向けイベント会場ってあまり見当たらなかったから、この駅ビルができたことによって、かなりフレッシュな活気が出てきたことはよいのではないか? 世界に名立たる古の都として、あまり市内のあちこちにこの手の施設を作るわけにもいくまいから、この莫迦でかい駅ビルも、若者層をターゲットとしたエンターテインメントのすべてをここに集中するという意味合いがあるとすれば、けっこう理にかなってるのかな、とも思う── 京都の玄関口である京都駅であるが、その周辺というのは京都タワー(これ、古くからの京都人にとっては結構ウザい存在らしい)がある以外は、大型郵便局や飲食店とか遊技場のはいった雑居ビルとか銀行とかが立ち並ぶ、いわゆる一般的な地方の大都市の駅前近辺とさほど変わりはない。駅前圏内にあるのは本願寺くらいで、いわゆる定番の観光名所と呼ばれるところはいずれも京都駅からはちょっと歩いては行けない場所である。母と弟連れて新幹線の待ち時間の間ではもちろんそう遠出はできないから、3人で本願寺の境内でしばらく腰を下ろして休憩した後、早めに駅に戻って新幹線ホームに向かった──ちなみに新幹線ホームは烏丸口(駅ビル側)から最も離れたところ(伏見口寄り)にあり、山陰本線の乗り場は逆に最も烏丸口寄りにあるので、この2線を乗り継ごうと思うとけっこう歩くのである。ともあれ、新幹線のホームに3人戻り、今度は伏見口側を見下ろしてみる。こちら側は昔と変わっていない。昔通り、これと言ったものは何もない(^^;)。でも、軒を連ねる家並はどこか京都らしい風情ある佇まいで、これはこれで趣深いものがあると思う──名所だけが京都ではないんだな、と思いながら、東京行き新幹線に僕たち3人は乗り込んだのだった── |