ダメ元で頼んでみましたが、平日の時間のある日にお手伝いに来てもらう事になり、心でガッツポーズしながらお願いしますと頭を下げました。
最初は週一回、バッテリー指導をお願いしたのですが、その指導もワンポイントでわかりやすく、すぐに成果が現れたように思います。何より私自身が大変勉強になりました。
「最初は」と書いたのは、そのうち指導の回数も増していったからです。我々教員の性(さが)とでも言いましょうか、子供が望めば時間をかけても応えたくなるものです。
何しろワンポイントの指導で自分でもその成長がわかるわけですから、子供にとってはさらに上手くなりたいと思うわけで、その目を見たらほっとけなくなる、そしてさらに時間をかけて指導したくなる。狙ってた事が現実となってきました。
ご自身も経験から得た知識やノウハウだけに頼るのではなく、新たな情報を組み入れながら理論を組み立ていらっしゃるように思いました。
しかし、その子たちの最後の大会では力を出しきれず終わってしまいました。敗戦後「新チームから監督をやらせてもらいませんか?」と願ってもないお言葉をいただきました。
「是非お願いします。土日は私たちで何とかします。先生のお力を子供たちにお貸しください」とお答えし、翌日から新体制の野球部がスタートしました。
翌年、サッカー部の顧問だった教師も野球部に入ってもらい、更に強力な体制となって新学年がスタートしました。大会でベンチ入り出来る教員は2名までとなっているので、私は部の運営だけを担当しベンチから外れました。そして新生野球部は確実に力を伸ばしていき、地区では常勝軍団となっていったのです。
都大会でも徐々に戦績を上げるようになりましたが、監督となられた先生にはその負担(特に時間的な)も大きくなったのは本当に心苦しく思いました。それでも素人で入ってきた生徒も指導を通して着実に上手くなっていく様をみると、生徒にとっては大きな出会いだったと思います。
4月から顧問となった若い教師も、その指導(野球の技術指導だけではなく、広い意味での生徒指導も)大変勉強になったと思います。そして彼も指導者としての基礎を固めていきました。
様々な事情を抱えながらも、生徒のために時間を作っていただいた先生、その指導のもと真摯に研鑽を重ね、生徒に寄り添ってくれた新顧問にも感謝です。
ただ、このお2人もいずれ異動になるのは本当に残念です。もう無理は言えませんが、指導を受けた生徒は本当に幸せだったと思います。出来ることならそんな幸せな生徒を増やしてもらえればと密かに思っています。
私は退職まではこの学校でと思っていましたが、7年目も終わろうとしている時、面接で学校長からある宣告を受けました。
(感謝24に続く)