教員生活もあと10年となって、2校目で私の基礎を築いてくれた地区に戻る事になりました。部活、教科指導、生活指導も原点回帰。もう一度一からやり直す覚悟でした。


 そしてブレ始めていた自分の軸を軌道修正すべきだとも考えていました。


 赴任した学校は、この地区でも問題行動が多く、所謂「荒れている学校」という評判で、初年度から生活指導主任を拝命されてた事からも、何かを変えなければという狙いがあったのだと思います。


 4月1日に新規採用を含めた新メンバーが校長室に集合した時、教育委員会の統括指導主事以外にも教育長までが我々を迎え、前年度までの学校の様子を伝えられました。


 色々問題はあるだろうけど、最後に自分が何を成し遂げ、何を残せるか久々にワクワクした感覚も覚えたように思います。


 その学校の真前(いわゆるトイメン)には駐車場のあるコンビニがありました。生徒が溜まる場所としては最適な場所です。


 まずは現地視察。早速その場所に行ってみると、それらしき数名が、彼らの特権であるウンチ座り(表現が汚くて申し訳ありません。)をしてジュースを飲んでいました。


 店内に入り飲み物を購入した後、その子たちに近づき「前の学校の生徒?」と尋ねましたら、怪訝そうな顔をして「そうだけど、あんた誰?」と聞いてきました。


 「今日からその学校に来た先生。よろしくな!」と言ったら、彼らは不思議そうな顔をして無言で去って行きました。


 その後たぶんこのコンビニに迷惑をかけているのではないかと思い、店長に挨拶をしたら「いやいや、悪い子たちではないですよ」という返事が返ってきました。


 それから、学校が始まり空き時間にはコンビニに顔を出すようにしました。授業中にも関わらず、制服姿の彼らが立ち読みをしているのを見つけては、学校に引き戻す日々が続きました。


 「面倒臭いオヤジが来たなぁ」と悪びれず学校に戻る彼らがなんか可愛く思えてきました。そのうち彼らともコミニュケーションがとれるようになり、教員に暴言を吐き指導中の子には、謝り方の極意も指導しました。


 謝罪の会できっちり謝罪出来た姿を当該教員はビックリして見ていて、後になって「先生はどんな指導をなされたのですか?」と聞かれたので「心は変わらなくても形は変えられます。ただ、形が変わってくると数ミリは心も動くかもしれないという期待は持てます。大切なのはその数ミリを見逃さないことだと思いますよ」と答えました。


 案の定、コンビニパトロールに行き本棚の前の彼は「何しに来たの?」という挑発的反応から「また来たんかぁ?」というリアクションに変わっていました。まさに数ミリの変化でした。


 さて野球部は、、、


(感謝19に続く)