緊急事態宣言が明け初めての試合。ここのところの感染者は減少傾向にあると言っても、この感染症は生徒たちの色々なものを奪ってきました。


 油断していたら、またみんなの時間が奪われることになりかねません。本来なら、市内各チームも来夏に向けて、他地区との力試しを始めている時期かもしれませんが、宣言明けすぐに相手が見つけるのは至難の技です。


 ならば、市内チーム同士で切磋琢磨して行くためにリーグ戦に近い形を提案したところ、顧問の先生方の賛同を得て、今日の二試合となりました。狙いは各チームのボトムアップ。


 それまでのポジションに拘らず、様々なポジションをなるべく本人の希望に沿って出場機会を与えようと、リエントリー制度も採用しました。初めて打席に立つ者、守備につく者、それぞれの緊張感が伝わり、その目的の一端は果たせたのではないかと思います。


 うちのチームで言えば、それまでマウンドに立つ機会のなかった3人の投手がしっかり試合を作ってくれました。ボークあり、突然の雨でストライクが入らず、押し出しの四球がありつつも、その経験は次に必ず生かされるものだと思います。


 そして一番経験して欲しかったのは「原点」です。初めてボールを握って、初めてバットを振ったあの日の楽しさを思い出して欲しかったのです。その当時、打てばどんな打球でも必死に塁を目指して全力で走ったはず、投げればただひたすら打者に対して思い切り腕を振ったはず。


 野球を始めた「原点」は、必死に追いかけたボールの先にあったと思います。部活が解禁になって、野球が出来る楽しさを知ったのも「原点」を思い出させるきっかけになっているのではないでしょうか?


 「原点」に戻れば、「必死になる」または「必死になれる」楽しさも思い出せると信じています。野球は知れば知るほど難しいスポーツだと思います。しかし、その基本は一球のボールを必死に追いかけ、一つのベースを必死に守る。単純明快なものなのです。


 今日みんなはどれだけ「必死」になれたでしょうか?そしてどれだけ「原点」を思い出せたでしょうか?その姿勢が強く太くなってこそ野球は楽しくなります。どうせやるなら楽しめる野球をやりたいですね。


 初めて立った打席、初めてついたポジション、その緊張と嬉しさを忘れない者は、これからもっと上手くなる。期待しています。