長崎県立大崎高校野球部。この名前を2年前に知っていた人は長崎県西海市に住む5000人しかいかなったと思います。昨年から頭角を現し、今秋の長崎県大会で優勝、九州大会では、準決勝で明豊高校(大分県)を、決勝では福岡大濠高校をそれぞれ撃破し、来春の甲子園出場を確実なものとしました。(あとは来春の甲子園が無事に開催される事を祈っています。)


 大崎高校に何があったのか?それは長崎県立清峰高校野球部のコーチとして甲子園準優勝を果たし、その後佐世保実業高校を連続して甲子園に導いた清水監督の就任でした。


 2018年、就任時の部員は5人。廃部寸前のチームからの出発です。それでも県内の中学生が、監督を信じ、この離島にやって来てから、甲子園の道を切り開いて行ったのです。しかし、あくまでも県内。全国から集まって来たわけではありません。


 甲子園常連校には全国から選手が集まってきます。甲子園という「夢」があるのなら、それも正しい選択だと思います。親元を離れ、合宿所生活から得られる体験も、人としての経験値に厚みを増すものだと思います。常連校と言われる学校はそれぞれ人としての教育も怠りなくやっているに違いありません。


 大崎高校も県内とはいえ、離島の学校です。殆どの野球部員は合宿所生活だそうです。ただ地域との密着度合いは特筆すべきものがあると思います。島以外から監督を慕ってやってきた選手の母親が「地域に愛される野球部、人になって欲しい。」とインタビューに答えていました。


 選手にとって逃げ場のない高校野球生活を自らの判断で選んできたのです。その中には相当の「覚悟」があったに違いありません。成し遂げたい何がある人は、本気の「覚悟」が必要なのです。


 監督が勝たせるのか?確かに勝利の一因ではありますが、監督の「覚悟」を上回る選手の「覚悟」がなければ奇跡は起こり得ないと思います。名将と言われる監督の元に「覚悟」を持った選手が集まるからこそ勝利が生まれるのです。


 この冬のテーマは「やり切るぞ!」です。「やり切ろう!」ではなく、「やり切るぞ!」なのです。この違いに込められた意味がわかりますか?「やり切ろう!」は他人と共有する言葉。確かに辛い冬練はみんなで乗り切らなければチーム力は上がりません。ただ他人の手を引っ張るには自分が他人以上に強くなければならないのも事実です。


 「やり切るぞ!」は自分自身の「覚悟」に問いかける言葉です。自分の覚悟がどれだけのものか、常に問いかけ意識していくことがやり切るために必要な条件です。「やり切るぞ!」そして「やり切ろう!」チームがこの冬いかに成長出来るか楽しみです。


 明後日からのテストもしっかりやり切ってください。決めた事をやり切る事、その積み重ねが人を強くしていくはずです。来春の甲子園、離島でやり切った大崎高校野球部の選手たちが大暴れる姿を、みんなの姿に重ねる事が出来たらと思います。