日本シリーズはソフトバンクホークスが4勝1敗1分で優勝しました。特に最後の一戦は高校野球を彷彿させるような緊迫したものでした。そして日本シリーズでMVPを獲得したのは、ソフトバンクホークスの甲斐選手でした。

前にも紹介したように甲斐選手は、高校卒業と同時に育成選手としてソフトバンクに入団しましたが、キャッチャーというポジションはレギュラーを取るまでには時間がかかります。ドラフト上位で指名されてもなかなか正捕手のポジションは取れないもの、しかも育成選手としての入団ですから、周囲の期待はそれほどでもなかったのではと想像します。

日本シリーズでの打率は1割そこそこで、派手な活躍がなかったといえばそうかもしれません。それでもMVPに輝いたのは、野球というスポーツの真髄を物語っているのではないかと思います。盗塁阻止率100%は驚異の数字です。盗塁の全てを刺す。これによって広島の攻撃の9割は防げたのではないでしょうか?

一つの進塁を防ぐことがこれだけ勝敗を左右するのだと、観ている人にも理解出来たのではないかと思います。一つずつアウトを取っていく競技が野球というスポーツの原点なのです。

そして、もう一つ個人的にMVPに値すると思った選手は内川選手です。それは、シリーズ中の二度のバント。普段はクリーンアップを打つ選手にバントのサインを出した工藤監督も凄いですが、一発でバントを決め、ベンチに大喜びで帰ってくる内川選手も立派だと思います。結局このバントがソフトバンクに勝利を呼び込みました。

一つアウトを取ること、一つの塁を進めること、これがいかに大切かを学ばされた日本シリーズであり、そこをちゃんと評価したMVPだった様に思います。特に育成出身で日本シリーズMVPを獲得したのは甲斐選手が初めてというのも努力が報われるという勇気を与えてくれたものだと感じます。

三中野球部の諸君全員が試合でのMVPになれれば、勝利は間違いありません。そのチャンスはどこのポジションにも与えられているのです。日々真剣に練習する者がそれに値するチームとなることが理想です。