監督・脚本 行定勲
原作 吉田修一

テレビストーリー
映画会社勤務の直輝、自称イラストレーターの未来、フリーター(ほぼ無職)の琴美、大学生の良介。彼らは2LDKでルームシェアしていた。そこにサトルという謎の男の子が現われたことで、彼らの日常が少しずつ変化していく…。


率直な感想は、後味は悪い。でも今年入ってから観た映画の中で一番良かった。

私は吉田修一という作家がとても好きで、同時代作家の中では最も好きです。

彼はとても不思議な本の書き方をする。
まるで電車の車窓から見えた景色を描写しただけのように、物語に起承転結がないことがあるんです。本は最後まで読んだのに、その先に見えない日常が続いていく。

これって作家としては非常に気持ち悪いものだと思うのだけど、吉田修一という人は、作家じゃなくて画家なんじゃないかと。

言葉を筆にして、見えた景色や、浮かんだ景色を描写しているだけなんじゃないかと。

それくらいによく現代を映し出しているんです。

だからこの映画も、たくさんの現代人の心の病みたいなものをたくさん内包している。

でも、たぶん吉田修一は、この作品を通して何かメッセージを伝えようとかしたんじゃなくて、ただ風景を切り取って出しただけなんじゃないかな。

その風景も、例えば村上龍みたく
見ろ!
みたいな強さで突き付けてくるわけじゃない。

かといって、観てるこっちが冷めるような淡々とした冷たさがあるわけでもない。

私たちは、映画を観ている間だけ、吉田修一というフィルターを借りて世の中を見られる、そんな気分になる。


私は映画が大好きだけど、映画を観て感動したり、何か学んだり、成長したいわけじゃない。

映画の中に浮かんで、その異空間を楽しみたいだけなんだ。

だから、こういうスタンスの映画がとても好きだ。

これは何を伝えたかったのか。なんてくだらないことを考えるのは、あんたの勝手だけど、考えようと考えまいと、この日常は進んでくんだよとでもいいたげな。


今夜は久しぶりに吉田修一の『パーク・ライフ』を読んで寝ようかな。


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