☆気象さんBL小説です、ご注意ください♪


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「 F 」9



S×O















智side








翔くんはずるい。

いつもそうだ。






おいらがもうやだって思った時

最高の翔くんを出してくる。




「オイラだけの帝王様」







どうせそんなの出来っこないって思って

適当に言ったのに.....

言った瞬間、

振り返りざまに翔くんの目つきが変わった。









本当に....


贅沢な時間だった....









翔くん...いや...帝王様の
ボワっとした息遣いに...







心臓の奥の奥を

きゅ〜っと締められた








「しないのキス?」








唇を指でなぞられると

ドキドキした。







とにかく恥ずかしかった。








首に手を回して翔くんの胸に顔を埋めようとしたけど

それより翔くんの唇が重なるのがはやかった。











帝王様の

甘い口づけ








帝王様なのに

甘い口づけ







帝王様....








しょ....






翔......






「ふぅ...」








まだ欲しい









もっと





もっと触れていたい






もっと.....



















そう...あの時からずっと






ずっと好きだった



























あの頃の俺は入所して1年...




とにかくダンスに夢中だった






人に合わせるダンスは苦手で

音と自分が合えばそれでよかった


だからレッスンなんて嫌いだったし

リハーサルも練習も

みんなの前ではほとんど踊らなかった。


みんなが鏡に向かって無心に踊る姿を

一番後ろで座って胡座かいてぼーっと眺めてた。






みんなが帰ると

1人で心ゆくまで踊った。





ビデオを撮って何度も何度も....







いつものようにレッスンを眺めていると

友達に似た見慣れない奴がいた。




そいつは踊るでもなく
ドアの近くでこちらを見ていた。




新しいJrか....?

目があうと

相手はペコンと頭を下げこっちに来た。







「友達ににてる...」

座ったまま見上げてじっと顔を見て言うと





困ったような表情で

「え....あ....」

彼はたじろいだ。







なんか名前を言ったみたいだけど

よく聞こえなくて

「ふーん」

って返してレッスンに視線をを戻した。








レッスンではちょうど腰振りのダンスをやっていた。









おんなじ振りなのに

みんなバラバラで珍しく全然揃っていなかった








ぽけーっと見てたら


「あのぉ....」

横から声がした。










まだいたらしい。












「座れば?」

横の床をぽんぽんと叩くと









「しっ、しっつれいしゃす!」

緊張しているのか背筋を伸ばして正座で座った。









別に正座しなくてもいいのになぁ...

なんて思ったけど

まぁ好きにするだろって

またレッスンに視線をうつすと











「踊らないんすか?」

再度、横から声をかけられた








「ん。




だめ?」







「いや...大野くんですよね?」

「うん。」







頷いた瞬間、緊張していた彼の顔が安堵に変わった






それが何かといわんばかりに
俺がそいつの顔をまじまじと見るから





彼は追い詰められたみたいに顔真っ赤にして
下を向いてた。







「あ....えっと、....









そ、そばに...

そばにいてもいいですか?」





「え....俺?」





顔を上げてまっすぐな瞳で見つめられた










後から聞くと
社長に
あいつの後ろで踊りを習え
みたいなこといわれたって







それで俺を探してのこのこレッスン室まで来たってわけ。

一番バリバリ踊ってる筈だと思って見に来たら

まさか後ろでサボってる奴が俺だと思わなかったんだろうな。










それにしも...

そばにいてもいいですか...なんてさ









顔真っ赤にして言うのは反則だよ。







一瞬、こっちが恥ずかしくなったわ。







綺麗な目を見てると

レッスンなんか、腰振りの振り付けなんか

どうでもよくなって






一気に吸い寄せられたのを覚えている。














もっと...





もっと見ときたいって思ったんだ