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映画が好き(詳しくはない)。
感想が中心です。

なんとなーく、観に行った映画。
わたしの中では大当たりでした

以下、内容にふれます

「ザ・テノール 真実の物語」
日韓合同の映画です。
これも実話がもとになっていますね。

アジアからのテノール、オペラ歌手として、世界で活躍中のベー・チョチョル。
ちょうど波に乗っているその最中、彼は甲状腺がんで倒れ、手術で声を失います。
日本人の音楽プロデューサー沢田や、妻ユニの支えの中、再び舞台に立つ日を目指す彼の姿を描いた作品。


日本側のメインキャストは沢田役の伊勢谷友介と、その部下北乃きい。
北乃きいさん、いい味出していました。弾き語りも素敵!

チョチョルの、歌への情熱と自信、絶望がありありと伝わってきます。
くじけたり迷ったりするたびに、沢田やユニとすれ違ったりするのはお約束。
チョチョルが一進一退するのが、良かった。
…というのは、挫折→立ち直り、のプロセスが平坦すぎると、私には共感できないからだと思います。
頑張ろう、でも、やっぱり…の、迷いや葛藤が丁寧に描かれることで、
逆にチョチョルの歌への愛情が伝わってきた。
対比して、まっすぐ揺るがない沢田のキャラクターも光ります。
チョチョルが揺らぐ中だからこそ、寄り添うユニや、同じ方向を示し続ける沢田が際立つというか。
そのふたりとの愛情や、友情も。

もう一点、ラストが
いわゆる「大成功!」じゃないのも良かったところです。
懸命に歩んできて、また困難が立ち向かい、やはり逃げたくなる、
それでも舞台で挑んだ「アメイジンググレース」は、
チョチョルにとって大きな一歩、
それは「以前のように」でなくてもいいのですよね。
リアリティーの面でもですが、
チョチョルとユニの会話で「復活までの年月を見せればいい」というような
会話(うろ覚え、いいシーンだったのに!)があったと思うのですが、そのセリフが思い出されました。
そしてその姿を見せられた観客が、チョチョルの声が途切れた先を歌う、という形で答える。
音楽、そこに乗せられた心が届いた瞬間ですよね。

また、
医療現場、ユニを含む演奏家たち、プロデューサー側の会社など、それぞれのフィールドの人々の葛藤やぶつかり合い、心情も描かれていたことで、人物たちにも感情移入しやすかったです。

どこまでが実話なのかなあ。
音楽や、難しいことはわからないのですが…。
多少ベタなシーンでも丁寧さがあるので、自然に泣けました。
ベー・チョチョルさんの歌う姿、
観てみたいです。