母は私が小学生の頃、近所のお年寄り数人とよく出掛けていました。
母が自分の車を出して運転手となり、デパートへ買い物へ行ったり、食事や温泉に行ったりしていました。
私は母が、気の合う近所のお年寄りのお友達と一緒に、遊びに行っているのだと思っていました。
それから何十年も経ち、母がお年寄りと呼ばれる世代になった時に、あれは遊びに行っていたのではなく、ボランティア活動だったという事実を知りました。
あくまで母から聞いた話なので、これが事実かどうかは何もわかりません。
私が小学生の頃に実家のある市が、高齢者のお世話ができるボランティアの募集をしていたそうです。母はその第一号のボランティアとして採用され、活動していたとの事でした。
近所のお年寄りを車に乗せて出掛けていたのは、個人的に遊びに行っていた訳ではなく、お年寄りの行きたい場所の希望を聞き、車で連れて行ってあげるというようなボランティア活動をしていたそうです。
母は、自分は若い頃に市のボランティアとして、お年寄りを車で色々連れて行ってあげたのだから、自分が歳を取った今、同じ事をしてもらうのは当然の権利だ!と、市役所や区役所に、自分がやっていたように、車で遊びに連れて行ってくれるボランティアの要求をするようになりました。
何十年も前なら、そんな独自の考えで行動するボランティアがいてもおかしくないのかも知れませんが…??
介護保険制度が2000年に創設され、コンプライアンスの遵守など色々な制約がある現在、万が一事故があった場合の補償などを考えても、母が要求するような、車で遊びに連れて行ってくれるボランティアを、市や区が紹介する事など出来るはずがありません。
普通の人なら、今はそんな時代なんだと諦める所ですが、頑張り屋さんの母は諦めませんでした。
この無駄な労力や時間が、勿体ないとも思いません。何度も何度も執拗に電話したり、直接苦情を言いに行くようになりました。
市役所も区役所も、何十年も前の事なので、資料は残っておらず、当時の事を知っている職員も今はおらず、母が市のボランティアをしていたかどうかもわからない。という回答しかもらえなかったようでした。
母のこのボランティアの要求が、固定資産税問題で悪化していた区役所との関係を、さらに悪化させる事となり、超が付くような要注意人物で、頭のいかれたお婆さんとして認識されるようになったのだろうと思います。