⑥ | 水蜜桃と毒林檎

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その後は傷付く事が沢山あった。他人からの無神経な言葉、報道、hideの不在を改めて突き付けられる場面。

一番辛かったのは、7月に発売されたビデオだった。春に始まったラジオの中で、hide本人が「L.Aでの生活に密着した撮影をしていて、近々ビデオ作品にする」と言っていた。確か、そのラジオの録音をしている場にも撮影が入っていると言っていた。そのビデオが、当初の予定とは違う内容になっただろうが、夏に発売となった。タイトルは「h.i.d.e.」(※正しくは頭文字がhideとなる四節の英文)。

バイト先のコンビニでも取り扱ったので、掲示していた本人の写真入り特大ポスター(非売品)も特別にもらって帰った。楽しみにしていた作品。まだ知らないhideちゃんの姿が観られる。ドキドキしながらビデオをスタート。L.Aを歩くhideちゃんが映し出される。無心で見続けた。確かそんなに長く無かったため、あっという間に終わりに近付いた。そして、何となく画面が切り替わった。L.Aの海だった。何のシーンかと見ていると、白い小さな器が映った。そして中の粉を仲間が海にばらばらと撒いた。

…お骨。


hideちゃんが、骨になっていた。


悟った瞬間、血の気が引いた。そして瞬時に涙が溢れた。そんなもの観たくなかった、どうして入れたんだ。顔中の筋肉が痛いぐらい泣いた。顔が歪んでいるのが解る、呼吸も辛かった。声も出ない程だった。それまで生きて来た中で、一番泣いた。


だから、あのビデオはそれっきりで封印した。そのため上に書いたビデオの内容は若干違うかもしれない。一度しか観ていないから。そして、怖くてもう観ることはないと思う。


あまりの絶望感で、もうこのままではダメだと思った。ちょうどその頃、発足したばかりのhideファンクラブから一冊目の会報が届いた。そこには大好きなhide&仲間が沢山載っていた。ずっと楽しみにしていた会報第一号。でも、内容は楽しさ半分悲しさ半分だった。Xのファンクラブから継続してスタッフとなった方がいて、あたしはその方を好きだったから嬉しかった。その方のメッセージで「生きていると様々な事があります。それが悲しみなら乗り越えなければいけません」、とあった。それを見て、乗り越えなければいけないんだと気付き(ただ悲しんでばかりいたから)、次回の会報から始まる文通コーナーに「友達募集」のメッセージを書いて送った。

当時あたしにはXやhideファンの友達がいなかった。学校の友達が深く理解してくれていて十分だったから。でも、同じ痛みを抱えた仲間と話せば何か変わるのではと思った。だから初めて友達を作ろうと思った。