⑤ | 水蜜桃と毒林檎

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献花式が終わったその日から、苦しい闘いが始まった。

学校には行った。でも、不意におかしくなりそうになる。漢文の授業で古代中国の戦を扱っていた時に、戦いで人々が命を落としたり自害する様子を先生が説明し始めた。命、人が亡くなる…そういう事に過敏になっていたため、急に恐ろしくなり、叫び声をあげたくなった。怖い、怖い、そんな話やめてくれ。人が亡くなる様をそんなに淡々と話さないでーー。

あれ以来、「死」という字が怖い。死ぬという言葉も嫌。←今その文字を書いたのは本当に12年ぶり。この先も使わない。また、hideという名前に故を付けたり、亡くなったという言葉をくっつけて使うのも絶対に嫌。口にするのが怖いから、意図的に12年避けて来た。前の記事で書いたのが、最初で最後。


献花式で現実を悟ってからは虚無感でいっぱいだった。何をしても心の穴が埋まらない。この先をどう生きたらいいのかわからない。過去に帰って止める術は無いのか。何万人が祈れば奇跡は起きるんじゃないのか。それかいっそ迎えに来て欲しい、と明かりの無い部屋で天井に向かって手を伸ばしたりした。

真っ暗な部屋でピンクスパイダーを繰り返し聴いた。カッコ良かった。未来への未知なる可能性を感じる曲だった。だから悔しくて、聴いては泣いた。

放送が始まったばかりだったオールナイトニッポンR。hideちゃんは自分がDJで大丈夫なのか?みたいな事を仕切に言っていた。放送事故が起きるかも、とか言っていた気がする。そして番組の最後に「次回の放送はあるんだか無いんだかわかりませんが」と冗談を言っていて、聴いてる時に笑った。
その後マスコミはその部分を「死を予感させる発言」と何回も取り上げていた。ピンクスパイダーの歌詞も、絶望を歌っているとか何とか。

違うよ。違う。

最初は自殺(あぁ、嫌な響き)と言われたが、後々それは事故と訂正された。肩凝りの緩和策を泥酔によりしくじってしまった事故だ、と。

あたしはそれを聞いて納得し、落ち着いた。状況が容易に想像出来た。

なぜなら、自分もその治療を受けていたから。ヘビーな肩凝り持ちで時々医者に通っており、「けん引」といって、上から吊した木綿の布にアゴを乗せて力を抜くという方法で治療を何回も受けていた。深酒の後に自己流でやろうとしたら、的確な判断が出来ずに事故が起きてしまってもおかしくない。実際hideちゃんは酷い肩凝りだったようだし(その直前に収録したテレビ番組中も肩揉んでるし、雑誌でも語ってた)あたしは妙に納得してしまった。

真相はわからない。違う理由で、事故では無いのかもしれない。でもあたしは事故と確信しているし、もしこれを読んで新しい見方だと思って下さる方がいたら嬉しい。

あんなにこれからを楽しみにしていたhideちゃんだったんだから。KIYOSHIくんも言ってたけど、世をはかなんで逝ってしまったなんてとても思えないんだよ。