第一話
嵐のよるのことだった。雷がひどくうなっていた。
僕の飼い犬”ベンジャミンフランクリン”もそれに合わせるかのように
吠え始めた。
「ベン、うるさいよ。」
僕が注意すると何か悲しげな表情を見せた。今、動物愛護週間のためだけに
動物のそのよな表情を見るのは、心が痛んだ。
クゥーンというベンの鳴き声と同時に僕とベンしか住んでいないはずのこの家に物音がした。
僕は、あたりを見渡した。
誰かがいる気配などどこにもない。きっと、物が落ちただけかもしれない。自分にそう言い聞かせ
物音のした寝室へ向かった。
暗く、肌寒い寝室へ一人で入るのは、ちょっと勇気のいる行為だった。
僕はとても恐がりだ。ホラー映画のCM、いや、タイトルのロゴを見るだけでも震え上がってしまう。だから、嵐の夜なんて大嫌いだった。なんたって嵐の夜といったらホラー映画には絶好の撮影現場じゃないか。
さらに追い打ち。雷まで鳴っている、犬も吠える。とうとう、なにかが起きそうな気がして
しょうがなかった。見事に予感は的中。
恐がりな僕にとっては、何かの罰ゲームを受けるより怖いことが起きた。それは、僕の命綱ともいえる蛍光灯が消えてしまったのだ。
「ひゃあ。」
僕は、跳ね上がりベンにしがみついた。
「ベン、動かないでくれよ・・・・。それから、なにか唄ってくれないか。ああ、懐中電灯は
どこにあるんだろう。」
ベンは、僕の期待通り僕に寄り添ってワンワンと吠えた。いつもは、うるさいと
いまいましく思うベンの鳴き声が、今はそのおかげで怖さをやわらげることができた。
しばらくの間しーんとなった。その沈黙を破ったのは、やはりあの物音だった・・・・。
