テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく シーズン1〜3(Ted Rasso Season1 - 3)

アメリカでアメリカンフットボールのコーチをしていたテッド・ラッソ(ジェイソン・サダイキス)が、フットボール(「アメリカン」がついてないほうのフットボール、つまりサッカー)チームのコーチとしてイギリスにやってくるところから、ストーリーは始まる。アメリカ人のテッドと周りの英国人たちとの違いに関する描写もたくさんあって、そこもおもしろさのひとつ。でも一番の醍醐味は、テッドと周囲の人々の関係が少しずつ変化していく過程。テッドと関わることによって、3シーズン(34話)終わるころには、最初とは別人のようになっている人もたくさんいる。そういった人々の中で、大きな変化はないかもしれないけど、逆に安定のキャラクターで私が一番好きだったのが、チームのオーナーであるレベッカ・ウェルトン(ハンナ・ワディンガム)の部下、レズリー・ヒギンズ(ジェレミー・スウィフト)。一見さえないキャラかと思わせておいて、仕事はできるし、意外性もあるレズリーがなんとも素敵。シーズン3 エピソード6のチェット・ベイカーにまつわるシーンは最高すぎて何度も観てしまった。このエピソードの舞台は冬のオランダ。いつもグレーのスーツと白いシャツにネクタイ姿のレズリーが、ブラックのタートルにチェックのウールジャケット、その上にベージュのステンカラーコートというかっこうをしている。そこに何気なくブラックのレザーの手袋をするところがかっこいい。スペースの都合でオフィスを追い出されてもどこででも仕事できるし、怒るレベッカにも平常心で対応、妻との良き関係性はまるでおとぎ話のようにいつも良好……と、とにかくブレがないレズリーは、一番かっこいいキャラクターだと私は思う。あと、トレント・クリム・“インディペンデント”(ジェームズ・ランス)も深みがあって、大好きなキャラクター。ちょっとオールドファッションでヴィンテージ感あるファッションや車もさりげなく良い。3シーズンまであって結構な長さなので登場人物も多いけれども、もうみんなサイコーないいキャラばかりだから、書いているときりがなくなりそう。その彼らを同じように、ストーリーが進んでいくにつれて、観ているほうも“テッド”ワールドに否応なしに引っぱり込まれていく。そして、それがとっても楽しい。このドラマ、シーズン3で完結と言われていたのが、なんとシーズン4の製作も決定したのだとか。どうなるのか、楽しみなような、ちょっと不安なような。でも、リリースされたら絶対観るし、それまでにもう一周しておきたいところでもある。