Out of the Trees | CAHIER DE CHOCOLAT

Out of the Trees


1976年にBBCで放送された30分のスケッチ番組。脚本はグレアムとダグラス・アダムズとバーナード・マッケナ。音楽はニール・イネス。グレアムとロジャー・ブライアリーが中心となって進行していき、“British Rail”(ブリティッシュ・レイルウェイズの車内や駅での会話)、“Genghis Khan”/“The Private Life of Genghis Khan”(戦いの日常に飽き飽きしたチンギス・カンをグレアムが演じる)、“Peony”/“Severance of a Peony”(シャクヤクを巡る人々の断絶)などのスケッチが「意識の流れ」式に次から次へとつながっていく。人物間の常識の行き違いや会話のズレがかなりとうとつだったり(この行き違いやズレを出すための部分に一部で反感を買っているものもあるもよう)、話がとんでもない方向へ進んでいったりと非常におかしい。メタな視点や第四の壁を破るところが入るのも安定のおもしろさ。個人的には、サイモン・ジョーンズのとぼけたセリフとセリフ運びに何度もつぼった。この1本しか制作されていなくて、再放送もなかったというのはとても残念。さらにはサッカーのハイライトを放送する番組『Match of the Day』の裏で放送された(つまりイギリスの人々はほとんどサッカー番組のほうを観ていた)という不運な番組でもある。ひとつひとつのスケッチは完成された感があって、何回か回を重ねていたら、さらにおもしろくなっただろうなあと思う。エリックの『Rutland Weekend Television』も途中からおかしさが加速していたし。ほんとうに残念だ。


1976年のグレアムのヴィジュアルがまたかっこよくて良い。衣装もなかなか素敵。