映画というささやかな商売の栄華と衰退 | CAHIER DE CHOCOLAT

映画というささやかな商売の栄華と衰退

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『映画というささやかな商売の栄華と衰退(Grandeur et décadence d'un petit commerce de cinéma)』。フランスのテレビ局TF1で、“Série noire”シリーズの1本として製作、放映された1986年のテレビ映画。主な登場人物は3人。映画監督ガスパール・バザン(ジャン=ピエール・レオ)は映画の仕事がなくて、最近はビデオ(テレビ)の仕事に甘んじている。ガルパールの友人で、製作会社ARBATROS FILMSの社長/プロデューサーのジャン・アルメレイラ(ジャン=ピエール・モッキー)は資金繰りに困っている。ジャンの妻のユリディス(マリー・ヴァレラ)は映画女優になりたいと思っている。ガスパールに仕事がないのも、ジャンがお金に困っているのも、結局は映画がテレビに押されていることが要因。テレビ映画を依頼されて、こんな作品を作るゴダールはやっぱりゴダールだなあと思う。途中、「ACCIDENT TECHNIQUE」という文字が出たかと思いきや、音声が途切れたり、画面がカラーバーやまっ黒になったりする。これ、実際にテレビ放送で観ていたらちょっと驚くかもしれない。でもこういうのもテレビならではなわけで、映画とは少し違っている。ゴダール役で登場するゴダールはなかなかとぼけていて、思わず笑ってしまった。気難しい監督ガスパールを演じる口ひげのついたレオは基本ずっと不機嫌でどなっているけど、最後はちょっとくすっとなる。いや、ほんとは笑っている場合ではないし、せつなさが押し寄せてくるようなシーンもあるのだけれど。レッドとグリーンなど、色の配置はさすが、ホワイトをベースに木目の家具や建具が配置された部屋は比較的あっさりでとっても素敵。そこにタチやコクトーのポスター、絵画などが飾られている。このインテリアはリアルに参考になる。