The Odd Job | CAHIER DE CHOCOLAT

The Odd Job

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グレアム・チャップマン主演&脚本(共同執筆)の1978年の映画。主人公のアーサー(グレアム)は妻のフィオナと幸せに暮らしていた……はずが、ある日突然フィオナが家を出ていってしまった。絶望したアーサーは自殺を試みるも、なかなか実行できない。そんな時、“なんでも屋“がセールスにやってきた。そこでアーサーは彼に自分の殺害を頼むことにする。ところが、彼女はあっさり帰ってきた。自殺の必要はなくなったのに、“The Odd Job Man(なんでも屋)”(デヴィッド・ジェイソン)は依頼通り彼を殺そうとする……作品説明はこんな感じだった。「『コントラクト・キラー』じゃないか」とすごく気になって、即行観たら、観初めて数秒で「うわー、これは絶対好きだ……!」となった。ほんの少し黄味が強めの画面の色合いもストリングスの音楽もロンドンの街並みも。もうたまらないものが詰め込まれてる。そんなオープニングタイトルの途中で、アーサーが建物から出てくる(スーツ姿がかっこいいグレアム)。右手にカバンを下げて、左手には鉢植えを抱えている(実はJapanese Bonsai)。きょろきょろして、歩いてる人にぶつかって、小さくぺこっとして、無事を確認するように鉢植えを見て。どこかきょどったような様子がじんわりおかしみを感じさせる。このオープンング数分の時点ですでにじみ出ているように、アーサーは結構なヘタレキャラ。発想や言動もちょっとへんだったりする。そういうところがまた話をどんどんややこしくしていく。正直ツッコミどころは満載、でも、その甘さも含めてとても好き。コメディだし、むしろそれくらいがいい。みょうに濃いキャラが出てきたり、ほんとうにとんでもないことに(何度も)なったりしつつ、最後はビタースウィートでハッピーサッドなエンディングに着地する。まったく予想外の結末で正直かなり驚いた。観終わったあとは、ぼやぼやの画質のせいなのか、ドタバタしている割になんとなくのんびり流れる空気のせいなのかなんなのか、不思議に幸せな余韻が残った。評価としてはそれほど高くない作品らしい。でも私はすごく好きだと思った。ロケーションはロンドンの中心部で、ロンドン動物園が出てくるところが最高すぎる。動物園の近くにあるアーサーとフィオナが住んでいるフラットも最高。次に行ったときはあの建物を見にいきたい。