ゴダールの探偵(Détective) | CAHIER DE CHOCOLAT

ゴダールの探偵(Détective)

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2年越しのある殺人事件を解決しようとしている探偵のイシドール(ジャン=ピエール・レオ)とその恋人アリエル(オーレル・ドアザン)、パイロット(クロード・ブラッスール)とその妻(ナタリー・バイ)、ボクサーのプロモーター(ジョニー・アリディ)とマフィア(アラン・キュニー)……彼らを中心に色んな人たちがからまったり、すれ違ったり、離れたりという物語。物語といっても話の筋書きはあるようなないような。まあゴダール映画なので。でも終わり方はちょっと意外で、最後まで観たら一瞬でふわっとした気持ちになって、そこですべて持っていかれる。レオのあのてけてけした演技が重厚なホテルの内装やマフィアがらみの重い話と対照的でなんともいいし、ホテルに潜伏している探偵ということで色んなコスプレ(変装)が見られるのも楽しい。基本のスーツ(ライトグレーのスーツに水色シャツと黄色いネクタイが80年代っぽさ)、ホテルの給仕係、掃除係、そして、ギャルソン。ギャルソンスタイルのレオが見られるなんて嬉しすぎる……! イシドールと18歳のアリエルのふたりがまた可愛い。レオはこの時41歳で、実はちょっと贅肉ついたりしてるけども(服を着ているとまったくわかりません)、そんなことはいいんです、レオだから。この映画、なんで今まで観てなかったかな……って書きつつほんとはわかってる。まず60年代、70年代の作品が私の中で圧倒的に優先順位が高かったから。それと、ソフトが手に入りやすい作品だから。物理的に考えれば、手に入りやすいんだったら早く観られるはずなんだけれども、逆にいつでもだいじょうぶだと思うとあと回しになって、そうしている間も興味はあっち行ったりこっち行ったりして、どんどん順番がうしろになってしまうということも多々ある。今回はレオのバースデイをきっかけに祭り(定期)になった勢いで観られた。よかった。そういえば、ビル・エヴァンスの“Why Did I Choose You?”がちらっと流れていた。なんとなく意外な選曲な気がする。なんとなく。