マップ・トゥ・ザ・スターズ(Maps to the Stars) | CAHIER DE CHOCOLAT

マップ・トゥ・ザ・スターズ(Maps to the Stars)

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みんな少しずつ何かを隠し持っている。重なっていくことがら。炎と水、親と呪縛、愛と死。すべてを外側から眺めれば、汚れて狂った世界で、みんなそれに気づかないふりをして、自分をだましながら踊っているよう。ジェロームだけは特に何も隠していないように見える。でもきっとそう見えるだけ。何も隠し持っていない人なんて、いない。いくつかの流れがからみ合って、もつれて、よどんでいく中で、「liberty」とつぶやかれるところだけが、結界を張ったみたいに清らかに感じられた。


on my school notebook
on my desk and trees
on the sand and snow
i write your name

on all the flesh that says yes
on a forehead of all my friends
on every hand held out
i write your name

on absence without desire
on naked solitude
on the stairs of death
i write your name

on the health that returned
on danger that has left
on hope without memory
i write your name

and by the power of a word
i renew my life
i was born to know you
and to name you

liberty


学校のノートに
自分の机や木々に
砂の上や雪の上に
君の名を書く

肯定する肉体すべてに
我が友すべての額に
差し出された手すべてに
君の名を書く

望まぬ不在の上に
むき出しの孤独に
死の階段の上に
君の名を書く

戻った健康の上に
残された危険の上に
記憶のない希望の上に
君の名を書く

1つの言葉の力で
人生を再開させる
私が生まれたのは
君と出会い 目指すため

自由 と


ベンジーとアガサがお互いをつなぐようにつぶやくことばは、フランスの詩人、ポール・エリュアールの『Liberté』。もとはフランス語で、英語訳も日本語訳も複数あるもよう。これは映画内のセリフと日本語字幕のもの。エリュアールは妻をガラと呼んだ。ふたりはカダケスのサルバドール・ダリの別荘を訪問し、そのときダリとガラは出会ったという。