ディーン、君がいた瞬間(LIFE) | CAHIER DE CHOCOLAT

ディーン、君がいた瞬間(LIFE)

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写真家のデニス・ストックと俳優のジェームズ・ディーンの物語。ジェームズ・ディーンのことはもちろん知っているけれど、彼の映画は観たことがない。しゃべっている声を聞いたこともない。ピュアで、田舎の町でみんなに温かく迎えられる、ふわふわとした口調で話す青年は、姿だけを目にして勝手に作り上げていたイメージとは少し違っていた。ジミー(ジェームズ)がデニスと一緒にインディアナの家に帰った夜、家族で囲んだテーブルにバースデイケーキが出てくる。前の週に24歳の誕生日を迎えたジミーのために用意されたサプライズのケーキ。たくさんのろうそくが立ったホールケーキが出てきたときのデニスの表情に、私は泣きそうになった。写真を撮るのが仕事だけど撮られるのは苦手で、パーティでは所在なげにはしっこに立っているデニス。でも、撮られるのをかたくなに拒むことはしないし、声をかけられればダンスにも応じる。本気でいやなわけではないことはその笑顔を見ればわかる。何をするにも彼には理由が必要なだけなのだろうと思う。奔放でありつつ苦悩も抱えているジミーも、どうにも不器用なかたさのあるデニスも、どちらも愛おしく感じた。ジミーがデニスを誘って、デニスがジミーの写真を撮る。それがもっと続いていたら、どうなっていただろう、とエンディングを観ながら思った。