チア・アップ!(Poms) | CAHIER DE CHOCOLAT

チア・アップ!(Poms)

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実はそこまで期待値は高くなかったけど、良かった(感動させる作品っぽいのにはなんとなく予防線張ってしまう)。ダイアン・キートン演じるマーサが流れや勢いでチアをやる羽目になってしまう……という感じなのかと思っていたら、意外とそういうわけでもなかった。シニアタウン“Sun Springs”のチアのメンバーはみんな個性的、かつ、可愛らしくて魅力があふれまくっている。もうみんなきらっきら。なかでも、マーサの隣人のシェリル(ジャッキー・ウィーヴァー)の可愛らしさがすごい。個人的には、ヨガをやっていて、180度開脚もできてしまう(!!)イヴリンが素敵だなあと思って調べてみたら、演じたギニー・マッコールは63歳から重量挙げを始めたというdancerでactorでswimmerでAmerican Ninja Warriorというすごい人だった。“Sun Springs”のチアダンスチームをサポートするクロエとベンは高校生。チア愛にあふれたクロエ(どこかで見たことある……と思ったら、『68キル』に出ていたコだった)も、おばあちゃんっこのベンも、ふたりともめちゃくちゃいいこで可愛い。音楽は色々な年代のヒッツたくさんで楽しかったし、ベンが作ったチア用のマッシュアップ曲もすごく良かった。サントラは出ていないみたい、残念。ずっとなんとなく気になる感じがあった“Sun Springs”の警備にあたっている警察官のカール、彼の終盤での活躍はスカッと最高だった。アメリカの警察官の夏服はやはり良い(関係ない)。“Sun Springs”のユニフォームはチアだけど少しシックで、これがとても素敵。いわゆるチア的なミニのプリーツスカートながらも、色はネイビーでちょっと控えめ。トップはスカートと揃いのネイビーのベスト、その下に長袖の白いコットンシャツ。脚を出すなら腕は出さない、と露出の量を計算したり、色を寒色系にしたりすることで、“痛くない”チアのユニフォームになっている。シャツのエリのボタンの開け閉めや袖の腕まくりで個性が出せるところも良い。スカートのプリーツの内側と胸のイニシャルはライトブルーのラメで華やかさもあり。足元は白の三つ折りソックスに白×黒のサドルシューズ。絶妙に品の良い仕上がり。このチアの衣装からもわかるように、マーサたちは若い人と張り合おうとしているわけではない。高校生と同じアクロバティックなチアができるわけもないし、コンテストに出るのも、あくまでも目の前に置く目標としてであって、他人と競うのではなく、今の自分たちができることをできるだけめいっぱいやろうとしている。そこはどんな年代の人にも、どんなことをやる人にも、ひとつたいせつなことを伝えようとしているのでは、と思った。もちろん、やっぱり年の功というのはあるものだなとも感じた(これは『アデライン、100年目の恋』でも思った)。落ち着きや余裕、迫力、説得力。そこに柔軟さやポジティヴさ、それから、冒険心があれば、マーサたちのようになれるのかもしれない。私も彼女たちのようになりたい……と、あまりにもありきたりなことを思った。チアの本来の目的は人を元気づけること。少なくとも私は元気づけられたし、気分が晴れた。天気のいいからりとした気候も画面から伝わってくるみたいだった。鬱々とした気持ちになりがちなとき、これぐらい痛快爽快でわかりやすい映画はいい。パンフレットの表紙は、マーサがかつて着ていたチアのユニフォームのデザインがもとになっていると思われるメガホン。可愛い。