ヴァスト・オブ・ナイト(The Vast of Night) | CAHIER DE CHOCOLAT

ヴァスト・オブ・ナイト(The Vast of Night)

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Amazon Primeでリリースされたばかりの作品。超常現象をテーマにした架空のドラマシリーズ『パラドックス・シアター』のエピソードのひとつ、として始まります。設定は1950年代の終わりごろのアメリカ、ニューメキシコ州。主人公は16歳の電話交換手のフェイとローカルラジオ局の人気DJのエヴェレット。街の人々がみんな地元のバスケットボールの試合で盛り上がっているある日に起こった不可思議なできごとの話……なのですが、物語が動き出すまでの日常の描写が結構長いです。正直そこはなんとなくで観ていても問題なし。まあそれぐらい平和な田舎町だということを伝えたいのかもしれないし、そこもB級ドラマっぽさといえばそうかもしれない。オープニングから20分過ぎたぐらいのところからが本題です。フェイが奇妙な音を耳にし、エヴェレットがラジオでそれに関する情報を募ったところに、情報提供者として「ビリー」と名乗る人物が電話をかけてくる。「ビリー」がなぜその音を聞くことになったのか、なぜ今まで話しても誰も信じてくれなかったのか、を言うところには思わずはっとさせられます。フェイとエヴェレットは同じ音声関係の仕事をしていることもあって、ふたりで協力しててきぱき動くところはバディ感あってなかなか気持ち良い。本題に入る少し前のふたりで会話するところは可愛らしいし、そこでフェイが話す未来の製品の話はなかなかおもしろい。最後も『パラドックス・シアター』のエンディングで終わり。色々ともう少し深みが欲しいような気もしますが、B級ドラマ的なものを楽しむ作品と考えれば、これはこれでいいのかなと。Amazonのカテゴリーでは「ドラマ、ホラー」となっていますが、「ホラー」ではないです。「SF」です。