アオサギとツル(The Heron and the Crane) | CAHIER DE CHOCOLAT

アオサギとツル(The Heron and the Crane)

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アオサギとツルはすれ違うふたり。そっけなくしたり、あまのじゃくなことをして相手の反応を見てみたり、せっかく仲直りしたのにふざけすぎてけんかになったり。それでも、雨が降ったり、寒くなったり、夜になったり、ほかの人(鳥)たちが一緒にいる姿を見たりしたら、やっぱりお互いのことを考えてしまう……(これはもうトレンディドラマの描写では)。いつものようにけんか別れしたふたりが離れた場所で同じ花火を見るところがせつなくて、ほんとうに美しい。真っ暗な空に打ち上がる花火の光と音。遠くに聞こえる歓声。火薬の匂いまでしてくるよう。花火の光に照らされるアオサギは右手をほおに当てて、左手でネックレスの先をつまんで立っている。ツルとけんかしたあとや申し出を断られたとき、アオサギはいつも不安な表情でネックレスに触れている。そして、(いつものように)けんかして別れたあと、アオサギはそのネックレスをほどいて、赤いつぶをかごに入れてツルに差し出そうとする。けれども、(いつものように)断られてしまう。かごからこぼれて黒い水面にぽつんぽつんと流れていく赤いつぶが悲しい……‏でも、最後まで観ると気づくことがある。happily ever afterではないところがとても好き。うっかりやりすぎて壊してしまわないように、と願うばかり。『霧につつまれたハリネズミ』もだったけれど、ここにも私の憧れがあった。