Music Interview::悲しい Android - Apartment¶ | CAHIER DE CHOCOLAT

Music Interview::悲しい Android - Apartment¶

[ORIGINAL]
Music Interview: Android Apartment
KAREEM RIFAI SEPTEMBER 25, 2018
https://www.theyoungfolks.com/music/125656/music-interview-android-apartment/



Music Interview::悲しい Android - Apartment¶


Alberto Rojch


悲しい Android - Apartment¶(Alberto Rojch)はロンドンを拠点とするFuture Funkアーティスト。イタリアのサルデーニャ島南部に位置する都市、カリャリの出身。2015年以来、数多くのアルバムをリリースしており、Future Funcコミュニティ内で知られているNight TempoやFuture Girlfriendといったアーティストたちとのコラボレーションも行なっている。Albertoの初の英語でのインタビューで、Future Funkの未来について聞いた。

TYF:あなたにとってFuture Funkとは何ですか? vaporwaveやハウスミュージックといったそのほかの近いジャンルとの違いはどういったところにありますか?

Alberto:僕はかなり物思いにふけりがちなタイプで、ノスタルジアのきらめきのようなものを通した1000個の思いが頭の中にいつもあるんです。自分自身を自分の音楽に投影するためのプラットフォームとしてFuture Funkを使っています。僕のFuture Funkのスタイルでは、サウンドの中にノスタルジックでメランコリックな雰囲気がありつつも、このジャンルでとてもよく知られているような明るくてアップテンポなビートに形を変えています。

Future Funkとハウス(特にフレンチハウス)の間には、実際、使うボーカルのタイプ以外にははっきりとした違いはなくて、とてもよく似たジャンルです。でも、Future Funkはvaporwaveとはかなり違ってきています。どちらもスタイルとしてインターネットカルチャーに関連はしていますが。イメージやサウンドはまったく違います。音楽的には、vaporwaveはFuture Funkの真逆です。低いトーンでスローな曲、すべてがとてもゆっくりです。Future Funkはきびきびしていて速い、真夜中に120kmで走っているオープンカーが巻き起こす風みたいな。

TYF:Future Funkとvaporwaveに何か共通点はあると思いますか? 2011年、vaporwaveがメインストリームに出てきた時、そのトレンドにはのっていましたか?

Alberto:さっき話したように、ふたつのジャンルの間にははっきりした音楽的な違いがある。でも、どちらもインターネットをベースとした同じ種類のトレンドの一部です。以前、vaporwaveのアーティストと一緒にやったことがあるけど、そのシーンはとても近いものでしたね。

2011年には、地元、カリャリの“Il Mare di Ross”っていうバンドでEmo/Screamoミュージックをやってました。その当時は、5年後にエレクトロニックミュージックを作るようになるなんて思いもしませんでした。(悲しい Android - Apartment¶を始めたのは2015~2016年でした) 正直言って、自分がFuture Funkをやり始めるまで、エレクトロニックミュージックをすごく好きになったことはなかったです。

TYF:Future Funkのビッグネーム、Night TempoやFuture Girlfriendともコラボレーションしていますが、彼らとの作業はどういった感じでしたか?

Alberto:Future Funkシーンのたくさんの人たちとコラボレーションしたことがあります。一緒にやった人たちとは親しい友人にもなっています。(みんな世界中の色々な場所に住んでいるので、残念ながらオンライン上だけですが) 友人とコラボレーションして、サウンドやシナリオを一緒に作るのは好きです。そういったほかの人たちからほんとうにインスピレーションをもらっているし、学んだり、教えたりしています。

TYF:Future Funkがニッチであることを考えると、コラボレーションすることができる人の数というのは限られていると思いますか? EDMのアーティストたちにもFuture Funkのトラックをやってみてもらいたいと思いますか?

Alberto:コラボレーションをするアーティストの数が限られていると感じたことはないし、ジャンルの中でも独特なものを作り出すために、常に色々なジャンルのアーティストをコラボレーションすることに興味を持っています。EDMのプロデューサーによるFuture Funkの解釈はおもしろいでしょうね。何かおもしろいものが出てきて、このジャンルがインターネットの輪から出て、メインストリームの音楽を聴く人々の耳に届くのを手伝うものになりそうです。

新しいジャンルを試してみることには関心があります。自分のスタイルとミックスして、そこから何が出てくるかを見るんです!

TYF:イタリア人アーティストとして、(日本よりも)イタリアのサンプルを“Un’ Estate Fa”などのトラックの中に入れるという実験的なことをやっていますが、Future Funkシーンを多様なものにすることは、建設的なことであり、今後もこのジャンルが続いていくために必要なことだと思いますか?

Alberto:僕自身はどんなものからの影響も受け入れるようにしています。ジャンルのスタイルに固執することはないです。実験することも、創作することも、聴くことも好きです。実際、今スペインのサンプルで作業をしているところで、これから、ほかにイタリアのサンプルも使う予定にしています。すべての言語が好きだし、すべての音楽のスタイルが好きです。もしある曲が僕にヒットして、リミックスを作るアイデアが浮かんだとしたら、『やるしかないでしょ』と思いますね。

こういうアプローチはジャンルにフレッシュな空気や新しい可能性をもたらすだけでなく、新しいメロディや感情を作り出そうと進化する、現状にとどまらないアーティストであることにもつながると思うんです。こうすることで、アーティストは成長するし、新しいものを発見する、オーディエンスもそうなります。

僕はジャンルという定義については考えたことはありません。聴く音楽や僕に影響を与える音楽を自分の音楽に取り入れています。

TYF:Artzie MusicのようなYouTubeチャンネルはオーディエンスを増やすのに不可欠なものだと思いますか?

Alberto:それはもう絶対に! FredとBreezyにはたくさん感謝しないといけない。最初の頃から僕を応援してくれていて、コミュニティに参加させてくれて、いつも僕をはげましてくれています。彼らとは音楽を超えた友人でもあります。素晴らしい人たちで、ふたりにいつか直接会えたらいいなと思っています。個人的には、Artzieは、僕たちの多くがみんなに見てもらえて、オーディエンスを得るのを手伝ってくれていると思います。僕は毎日Artzie Musicのチャンネルをチェックしてます。

TYF:Yung BaeやMACROSS 82-99など、ほかのよく知られたアーティストたちとあなたのスタイルとの違いはどういったところにありますか?

Alberto:Yung BaeやMACROSS 82-99といった、僕が最初に聴いたFuture Funkアーティストたちと僕のトラックを比較して分析するとしたら、僕のものはたいていBPMが少し速い、それから、エフェクトやクレッシェンドをたくさん使っているかな。Future Funkのアーティスト間の違いはサンプルのチョイスからも出てきます。Yung BaeやMACROSS 82-99は、かなりファンキーで明るいサンプルを使ったトラックをリリースしていますが、僕はよりノスタルジックでヴィンテージなサウンドのサンプルをいつも選ぶようにしています。

TYF:Future Funkはこれからも続いていくジャンルだと思いますか? vaporwaveのように人気があまりなくなっていくと思いますか? Future Funkの未来はどういったものになるでしょうか?

Alberto:うわー、いい質問ですね! 正直に言うと、ここ2年間、少しみんなの興味が薄れてきている傾向を感じていますが、最近また人気が復活しています。2年ほど前、信じられないくらいの新しいFuture Funkアーティストの波がやってきました。みんなFuture Funkをやり始めたんです。インターネットで旬のジャンルだったから。けれども、すべての作品がクオリティが高いわけではありませんでした。最終的に、全部ファッションだったっていうことです。このジャンルをほんとうに楽しんでいた人たちだけが残って、質の高いトラックを作り続けました。それで、リリースされた新しいトラックが失われていたクオリティを取り戻して、リスナーが興味を持つようになったんです。

Future Funkはこれから何年も進化し続けて、多面的になっていくでしょう。時を超えて生き続けるジャンルだと思います。でも、どのジャンルでもそうですが、実験的なことをする人々が必要です。現状にしがみついていたらだめです。高い関心を引きつけ続けるためには、リスナーに新しい可能性と新しいサウンドを提供する必要があると思います。

TYF:最後になりましたが、“悲しい Android - Apartment¶”という名前の由来を教えてもらえますか?

Alberto:ちょっと変な名前だと思われるみたいで、たくさんの人にその質問をされます。この名前は、『Futurama(フューチュラマ)』(テレビアニメーション番組)の、ロボットと人間の関係性を逆にするというエピソードからきています。そのエピソードを観た日の夜、ロボットが人間の役割を引き継いで人間がロボットの役割を引き継いでいるというストーリーについて考えていたら、おかしなメンタルトリップをしたんです。ディスコに行ったり、パブに友だちと飲みにいったり、学校に行ったり、結婚したり……そういうロボットたちを想像してました。

僕たちが生きている現実がほんとうの現実なのか、想像したものを盲目的に信じ込んでいるだけなのか、といったことについて考え始めたんです。僕たちは誰かがプレイしているゲーム内のキャラクターかもしれない、人生全部がまるごと夢なのかもしれない、人生なんてないのかもしれない。

気づいたらこういうことをよく考えています。だから、悲しい Android - Apartment¶という名前にしました。それは、何でもが何にでもなれる場所で、僕たちがいるということといないということが同時に起こっていて、すべてが起こっているけど起こっていない場所なんです。




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悲しい ANDROID - APARTMENT¶
https://android-apartment.bandcamp.com/
https://soundcloud.com/android-apartment




最後のところ、自分が生きていると思っている人生はほんとうに現実の人生とは限らないかもしれないとか、そういうことは私もよく考えるので、すごくよくわかります。何がほんとうかなんてわかったもんじゃないですよね。



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