フロッピーディスクが帰ってきた:オンタリオのレコードレーベルがvaporwaveを販売 | CAHIER DE CHOCOLAT

フロッピーディスクが帰ってきた:オンタリオのレコードレーベルがvaporwaveを販売

[ORIGINAL]
Bringing back the floppy disk: Ontario record label promotes vaporwave music
‘I wanted to do something just kind of completely ridiculous,’ says label owner Sterling Campbell
https://www.cbc.ca/radio/asithappens/as-it-happens-wednesday-edition-1.4742296/bringing-back-the-floppy-disk-ontario-record-label-promotes-vaporwave-music-1.4742298
CBC Radio · July 12
Written by Samantha Lui. Produced by John McGill.



フロッピーディスクが帰ってきた:オンタリオのレコードレーベルがvaporwaveを販売

レーベルオーナー・Sterling Campbell 「何かもう完全にばかげたことをやりたいと思ったんだ」


Sterling Campbellはvaporwaveをフロッピーディスクに入れて販売するレコードレーベル、 Strudelsoftを設立した。

Sterling Campbellは、すでにオタワでカセットレーベルとVHSレーベルの共同運営している。しかし、新しくてクリエイティブなベンチャーを始めたいと思った時、自分が何をする必要があるかはわかっていた。

「ある意味、完全にばかげたことをやりたいと思ったんだ」とAs It Happensのゲスト司会者、Rosemary Bartonとのインタビューで彼はそう言った。

「それで、音楽を8ビットに圧縮して、フロッピーディスクに入れて、全世界に向けて売り出した」

Campbellが話している音楽とはvaporwaveのことだ。

vaporwaveはエレクトロニックミュージックのミクロジャンルで、2010年代の初頭に人気となったインターネットミームのひとつ。80年代のスムースジャズ、シャンプーのCM、エレベーターミュージックなど、あらゆるものをローファイミックスにして曲を再利用することで知られている。

Campbellは、 Hex-A-Decimalとしても知られている友人のJosh Starkeyや3D Blastとして知られるデトロイトを拠点とするDJのRandy Kamradを誘って、As It Happensのテーマソングのvaporwaveバージョンも作ってくれた。

【As It Happens theme: vaporwave version】
Audio Link: http://www.cbc.ca/player/play/1274997315555/
Sterling Campbellは、彼の友人にも手伝ってもらい、As It Happensのテーマのvaporwaveバージョンを作ってくれた。(1:44)

「vaporwaveとは何かということに関しては、実際のところルールはないんだ。ノスタルジーを感じらればそれでいい」とCampbellは言う。

「スローダウンできるものならなんでも、そこにリバーブをかける。そうすると、いい感じでちょっと違ったふうに聞こえる」

Campbellが最初にvaporwaveを聴いたのは、はっきりしていないが、2014年から2015年にかけてのどこかで、オタワにあるAV機器の会社に勤めていた時のことだった。

彼と彼の友人はネットサーフィンをしている時にvaporwaveに遭遇したという。「そのノスタルジックな側面にすぐに夢中になった」とCampbellは言っている。


彼のレーベルのフロッピーディスクのリリースはほんとうに人気があるとSterling Campbellは言う。「どのリリースも売り切れで、驚く」と言っている。(Strudelsoft)

Campbellがvaporwaveを3.5インチのフロッピーディスクでのみリリースするStrudelsoftを始めたのは3月。これまでのところ、彼のレーベルが出すリリースはほんとうによく売れているという。「どのリリースも売り切れで、驚く」と彼は言っている。

1枚のフロッピーディスクに収録できる音楽は11分30秒。現代のコンピューターのほとんどにはフロッピードライブがついていないが、フロッピーに入っている音楽にアクセスする方法はまだあるとCampbellは言う。

「多くの人が、Aドライブを買って、ネットで20ドルで買えるUSBコンバーターにつないでるだけだよ」と彼は言う。

「Aドライブのついたコンピューターを持ってる人も中にはいるけどね。こういうタイプの音楽に夢中になる人の多くは、ノスタルジーやものを収集ことにも夢中になるから」



フロッピーディスクでのリリースを購入することは、過去に思いをはせることにもなるので、人々はとても関心を寄せるのだとCampbellは考えている。

「僕はこの技術とともに成長してきているから、ある種、なくなって寂しく感じているものなんだ」と彼は言う。

「そういったものとともに育ってきたわけではなくても、このジャンルに夢中になっているもっと若い人たちもたくさんいるけど、彼らにとってもこういうものは魅力的なんだよ」

現在Campbellは、vaporwaveの音楽を宣伝し、フロッピーディスクに入れて販売することで忙しくしているが、音楽でのそのほかのクリエイティブなベンチャーを考えていないわけではない。

「フリーダイヤルを始めようと考えているんだ。それを自分のアルバムにする。そう、みんなそこにかけてくれればいいんだよ」と彼は言う。

「それか、なんだろうな、SDカードに音楽を入れて、ビニーベイビーズか何かの中に縫い込むとか」



【インタビュースクリプト】
FLOPPY DISK VAPORWAVE
ゲスト:Sterling Campbell

ATW:1984年にダイアナ・ロスが“It's Your Move”をアルバム『Swept Awey』からリリースしましたが、“It's Your Move”はそれほどたくさんはプレイされませんでした。けれども、2011年の後半になって、この曲は2度目の人生を迎えることになります。Macintosh Plusという名前のアーティストが『Floral Shoppe(フローラルの専門店)』というアルバムをYouTubeにアップした時のことでした。このアルバムは、vaporwaveというミクロジャンルの中で最も人気のあるもののひとつです。vaporwaveはオンライン上で始まり、80年代のスムースジャズから、保留メロディやシャンプーのCMまで、そのあらゆるもののローファイリミックスが人気となっていきました。そこには、初期のインターネットカルチャーや廃れたテクノロジーへのノスタルジーという共通点があります。Sterling Campbellの話に入りましょう。3月、Campbell氏はStrudelsoftという、vaporwaveを3.5インチのフロッピーディスクでのみリリースするレコードレーベルを始めました。今、あなたは「なんの話をしているんだ?」と思っているかもしれません。Sterling Campbellがそれを解決してくれることでしょう。私たちは、オンタリオ州コーンウォールにいる彼と話をしました。

RB:さて、Sterlingさん、vaporwaveのことを聞いたことがない人のために、Macintosh Plusのダイアナ・ロスのリミックスを一例として少しかけたいと思うのですが、あなたはvaporwaveとはどういったものだとお考えですか? どんなふうに定義されているものなのでしょうか?

STERLING CAMPBELL:僕は再文脈化のようなものだと考えてる。80年代や90年代に流行った音楽の再利用、例えば、ちょっとスローダウンして、インターネット前の時代のノスタルジックなイメージとインターネット初期のイメージとを組み合わせて、といった感じかな。

RB:それは、もとの曲のように聞こえるのでしょうか? それとも、完全に違ったもののように聞こえるのでしょうか?

SC:どちらもあるよ。ほとんど原曲と同じに聞こえるものもあるし、なんのサンプルが使われているのかわからないぐらいのこともある。だから、ある種どんなものでもいいといえるし、それはアーティストによってさまざまだね。

RB:最初に聴いたものは何でしたか?

SC:2014年か2015年ごろだったと思うんだけど、その頃、僕はオタワにあるAV機器の会社に勤めていて、友だちと一緒にネットサーフィンをしてた。その時、vaporwaveと遭遇したんだ。これはひとつのジャンルだ、インターネットで生まれたもので、そんなに何度も起こるようなことじゃないって思って、すぐに魅了されてしまったよ。

RB:「このサウンドはいい、夢中で聴いてしまう」というところから、「自分で作ろう」というところへはどのように以降していったのでしょうか?

SC:そうだな……ある時、友だちのJosh Starkieと僕は、そのAV機器会社の上司に保管庫のそうじをするように言われて、僕たちはそこで500本の新品のMaxell 90のカセットテープを見つけたんだ。

RB:カセットテープですか?

SC:そう、僕らはお互い顔を見合わせて、「vaporwaveレーベルを始めよう」みたいになった。Joshは実際にオタワでLost Angelsっていうvaporwaveレーベルをやっているよ。

RB:あなたのレーベルはさらにその先にふみ出した、ということですね。どのようにして始めたのか教えていただけますか?

SC:そうだね、もう完全にばかげたことを何かをやりたいと思ったんだ。それで、音楽を8ビットに圧縮して、フロッピーディスクに入れて、世界中に売り出した。

RB:かつてデータを保存するために使っていた、小さい正方形のかたいディスクのようなフロッピーディスクのことですか?

SC:そうだよ。3.5インチのフロッピー。どのリリースも売り切れで、驚いてるよ。

RB:それをどうやって再生するのですか?

SC:多くの人が、Aドライブを買って、ネットで20ドルで買えるUSBコンバーターにつないでるだけだよ。Aドライブのついたコンピューターを持ってる人も中にはいるね。こういうタイプの音楽に夢中になる人の多くは、ノスタルジーやものを収集ことにも夢中になるから。

RB:そういったフロッピーディスクには、どのくらい音楽が収録できるのですか?

SC:3.5インチのフロッピーに入れられる音楽は約11分30秒。ある種、皮肉な話なんだ。僕はオーディオエンジニアリングの学校にいったのに、今は音楽を8ビットに圧縮することをやっているんだから。

RB:それでも、音楽についてだけではなく、ノスタルジックで、ほかとは違っていて、おもしろいです。80年代や90年代に関するその3つの点すべてに関連していると思います。こういったものをオンライン上で見ていると、AOLのコラージュのようなもの、あらゆる種類のおかしなヴィジュアルを見かけます。

SC:それが僕が懐かしく思っているものだよ。僕は土曜日に37歳になるんだけど、こういったテクノロジーとともに育ってきているから、ある意味、なくなって寂しく感じているものなんだよね。インターネット誕生の頃のことも懐かしい。そういったもので育ったわけじゃないもっと若い人たちもたくさんいるけど、彼らも魅了されてる。どれほどの数の人たちが夢中になっているか、もうおかしいんじゃないかっていうほどで、驚きだね。

RB:著作権問題についてはどうですか? サンプリングも同じような種類のことですが、どうにかして同意を得られなければなりません。その辺りはどのようにしているのでしょうか?

SC:そう、それなんだけど、グレーゾーンだね。どれぐらい再利用されているかっていうようなことなんだけど。僕はこれまで何も、停止通告とかそういったことにはなってないよ。

RB:先ほどダイアナ・ロスを聴きましたが、このジャンルのある種、レジェンド的なほかのアーティスト、このサウンドにするのに合うアーティストという意味での、80年代や90年代のアーティストはいますか?

SC:そうだな、80年代の日本のファンクを使っている(vaporwaveの)アーティストはたくさんいる。みんな、まだ誰も使っていないサンプルを世界中から見つけようとしているんだ。これっていう誰かひとりだけのアーティストはいないね。

RB:私は、父親が聴いていたビリー・オーシャンの古いアルバムはどうだろうと考えていました。良いものになりそうですか?

SC:それは絶対なるね。スローダウンして、リバーブをかければなんでも、ちょっといい感じで、違ったふうに聞こえるよ。スローダウンしてリバーブをかければそれでいいってわけではないけど、みんながやってることのひとつ、という意味で。でも、サンプルを次の段階に持っていっている人たちもいて、そういった人たちは完全に自分のものになるようにしてる。狂ってるね。

RB:では、これをさらに前に進めるには、ほんとうのフロッピーディスク、もっと大きいほうのディスクにいくのですか? さらに狂った方向へ進めていくのでしょうか?

SC:そうだね、実際それは考えたことがあるよ。でも、次にやる予定なのは、フリーダイヤルを始めて、それをアルバムにしようかって考えてる。みんなその番号にかけてくる、あるいは、なんだろうな、SDカードに音楽を入れて、それをビニーベイビーズの中に縫い込むとか。

RB:クリエイティブですね、それは間違いないですよ、Sterlingさん。私より先に、番組の最初に、As It Happensのテーマのvaporwaveバージョンを聴いたリスナーの人もいるかと思いますが、ここで、少し聴いてみましょう。

SOUNDCLIP
Music: Vaporwave remix of As It Happens theme]

RB:昼寝から起きた時にAs It Happenを聴いたみたいな感じです。これはどのようにしてできあがったのですか?

SC:僕の友だちのHexadecimal、彼はオタワ出身なんだけど、もともと僕と一緒にLost Angelsっているカセットテープレーベルを始めた人。それから、僕らの友人のデトロイトの3D Blast。彼らがやってくれた。45分弱の短いリミックスを作ってくれたよ。

RB:さて、AS It Happenは常にクールですが、これでvaporwaveクールにもなったわけです。リミックスを作っていただいてありがとうございます。そして、まったく新しいジャンルについて色々と教えていただいてありがとうございました。特に私にとっては新しいジャンルでした。

SC:どうもありがとう。この番組は大好きだし、CBCも大好きだから。

RB:ありがとうございます。この番組のために作っていただいたリミックスをもう少し聴きましょう。ありがとうございました。





-----
No copyright infringement intended.