NO KICK DRUMS PLEASE: VERMONT IN CONVERSATION | CAHIER DE CHOCOLAT

NO KICK DRUMS PLEASE: VERMONT IN CONVERSATION

[ORIGINAL]
NO KICK DRUMS PLEASE: VERMONT IN CONVERSATION
AUTHER: ELLE CLARK
http://www.theransomnote.com/music/interviews/no-kick-drums-please-vermont-in-conversation/



キックドラムはなしで。:VERMONT インタビュー
Kompaktからのセカンドアルバムのリリースに先がけて、Marcus WorgullとDanilo Plessowに話を聞いた。


厳しい構造や堅苦しさで満ちた世界の中で、まったく異なったものを創り出しているふたりのアーティストがいる。ドイツのプロデューサーDanilo PlessowとMarcus Worgullの2014年に始まったVermontとしてコラボレーションだ。サイケデリック・アンビエントやエクスペリメンタルなサウンドスケープの領域に深く入り、クラウトロックのサウンドを変化させ、現代に合った新しいものを作り上げている。

Motor City Drum Ensembleとして評価の高いDanilo PlessowとInnervisonのMarcus Worgullはモダン・エレクトロニカを再構築するアプローチを絶えず続けている。彼らが個々にすでに確立しているサウンドを避け、新鮮で個人的なものを持ち込むようにしながら、それは行なわれている。

彼らのコラボレーションとしてのデビューは2014年にさかのぼる。ケルンを拠点とするレーベルKompaktから、大きな期待とともにそのアルバムはリリースされた。ギタリストのDominik Von Sengerや最近亡くなったばかりのロックバンドCanのドラマーJaki Liebezeitのようなクラウトロックのミュージシャンの演奏がフィーチャーされている。

政治活動家であり、セレクターでもあるLena Willikens、アイルランドのバイオリニストDermot O’Mahonyもまた重要な役割を担っている。彼らのセカンドアルバムは2月10日にリリースされることとなっているが、前回からのさらなる続きが約束されている ―― さらに多くのゲストミュージシャン、クラウトロック・コズミックのうねり、そして、厳しくサンプリングはなしで。

それぞれのソロの制作からは離れた世界で、どのように新しい方向性が生まれたのかをWorgullはこう説明する。ケルンのある暗い夜、PlessowとWorgullは、Worgullが以前経営していたレコードストアのすぐ近くにあるPlessowのスタジオにいた。「僕らはふたりともものすごく疲れていて、でも、それにもかかわらず会っていた。それで、どちらもがとにかくバスドラムはなしにしよう、って言ったんだ」と彼は言う。

「僕たちはリズムの構成要素を全部切り替えて、ふたりともがほんとうに好きなトラックを3曲作った。けど、全体のこと、アルバムやその名前とかは、ずっとあとになってからの話だった」

Vermontのふたりのようなふたつの創造性は、疲労からさえも素晴らしいものを形づくる。けれども、彼らの過程を支えているのは、彼らが「home」と呼ぶ環境からダイレクトにもたらされる大きなインスピレーションなのである。Plessowはセカンドアルバムを「たぶん、ファーストよりもっとzenな感じになると思う」と説明しているが、Vermontのアウトプットの核となるのはジャーマン・クラウトロックのサウンドである。プロジェクトはケルンで始まったが、Plessowはどれほど「Vermontのインスピレーションが、ケルンから30分ほど離れた郊外の街、デュッセルドルフからきている」かを説明する。

「ClusterやHarmoniaのようなジャーマン・クラウトロック、エクスペリメンタル、エレクトロニックのバンド」のホームである西ドイツがクラウトロック・サウンドを生み出したのは1960年代の後半にさかのぼる。サイケデリックロック、ジャズ、ポストパンク、ミニマリズム、アバンギャルドエレクトロニカからエクスペリメンタルのニュアンスを持ち出し、クラウトロックはヨーロッパのシンセベースのエレクトロニカの新しい時代に貢献した。そして今、クラウトロックはPlessowに「サウンドスケープに関して一番大きな影響を与えているもの」となっている。Vermontは、クラウトロックのサウンドと進化したアナログハードウエアやコンテンポラリー・エレクトロニックミュージックをを融合させ、現代のイノベーターたちのアイコン的なサウンドの中にある。

Worgullのインスピレーションはハードウエア自体からやってくる。彼にとってそれが「まったく新しいもの」だったときに、Plessowがどうやってマシンを紹介してくれたかを彼は話している。「ノブやボタンを押すだけで美しく鳴るんだ。それか、ただこの種の美しいもので遊んでいたら、そうしたら音楽のひとかけらを作る構造が見つかる」、そういうことが自分にとってずっと一番大きな想像のインスピレーションになっているのだと彼は説明する。

ふたりは個々にエレクトロニック・ハウスとテクノのコミュニティに属しているが、WorgullとPlessowのそれぞれのアウトプットは平行しており、それぞれ特徴的で正反対である。MCDEはソウルミュージックとサンプリングにフォーカスしている。Worgullが描くのは眠りを誘うようなくり返しとミニマルな構造。Vermontはまったく違った何かをやる冒険であり、どちらのプローデューサーにとっても新しい何かを創り出すことによって、お互いから学ぶことができるという手段なのである。Worgullが指摘しているように、「僕たちは違った世界からやってきた、でも、それ(Vermont)は僕らふたりともが好きな部分を合わせたものなんだ」

Worgullが「それまで見たことがなかった」アナログ機材をどのようにしてPlessowが彼に紹介したかを説明する一方で、Plessowは、どのようにものごとを最小のものと反復だけにすることができるかということについて、自分は「ある種の素人だった」と話す。“どのようにものごとを最小のものと反復だけにすることができるか”。それはPlessowがVermontのプロジェクトでWorgullから学んだことである。クラウトロックからインスピレーションを受けたベーシックなハーモニー、最初のコードや最初の数音、そして、メジャーコード、マイナーコードの構造をWorgullがいかに作ることができるかをPlessowは説明する。また、自分がどれほど常に「ジャズやソウル」に傾倒しているか、「そういった音楽がいかにより複雑」であるか、そして、「Vermontのような、自分の中にないものを作ることがいかに有益かを知ることでリフレッシュできる」と説明している。

先にも述べたが、Vermontのファーストアルバムは「サンプルは使わないというルールのルーズジャム・セッション」として始まったものだ。Plessowは自身のMCDEとしてのキャリアについて「サンプルを中心に構築する」と話しており、また、「これ(Vermont)はここ(MCDE)から離れることができるプロジェクトだ」とも言っている。「Vermontのための曲を作っているとより自信を持つことができるし、ピアノを弾いているとより心地良くなれる」と言う。それがVermontをダンスミュージックの構造から離すものだ。Worgullは、Gerd Jansonのコンピレーション『Music For Autobahns』でのふたりの最初のコラボレーションについて、あの時以来、ダンス(ミュージック)のプロデューサーだけでなく、ミュージシャンという職業の道が開けたのだと話す。

Marcus WorgullとDanilo Plessowが最初に出会ったのはDJをしているときだったが、彼らの新しいサウンドは現在のほかのDJやプロデューサーたちとは離れたプロジェクトである。Worgullは、クラウトロックのギタリストDominik Von Sengerと一緒に一からトラック全体をどのようにして作ったかを説明しながら、ファーストアルバムで偉大なミュージシャンたちから得たものについて話している。また、Plessowは制作の過程において、「もしあるテクスチャーが必要だと感じたら、そのギャップを満たすミュージシャンを探すと思う」と説明する。Plessowのルームメイトが1曲ギターを弾いているが、そのシンプルさが彼らの制作過程の中でのキーとなる要素だったと彼らは言う。「もし彼(ルームメイト)がそこにいなかったら、たぶんそのトラックにはギターが入っていなかっただろうね」とPlessowは続けた。

Vermontのコアとなる気質はシンプルさが中心となっている。「Vermontはシンプルさがすべて。―― アプローチ全体がやすらぎ」とPlessowは言う。それが彼らの制作のすべてに広がる世界だ。彼はその音楽を「やさしい(易しい/優しい)」と表現する。そして優先するのは、ぼんやりとしたサウンドスケープ、くつろいだ雰囲気、それと同時に、どことなく壮大で、それでいてシンプルで、予測できない方向に進む感じだと。今の主要なエレクトロミュージックのアウトプットと比べて、ずっと芳醇でざらっとした感触だ。「どこかにラップトップを持って現われて、クラブのセッティングでプレイすることがどのようにほんとうにでない」気がするかを彼らは説明する。「楽器がすべて」だとPlessowは言う。しかし、ライブショウはまだなさそうだが。

ふたりは2014年以来、音楽を作り続けている。そして、彼らの制作過程は休みなく行なわれており、進化さえもしている。「少しのメロディとコード進行で始める。それから、ちょっと演奏してみて、何か必要なものが見つかったと思ったらお互いを見る ―― いつもそうやってるんだ」とWorgullは言う。しかし、ケルンのレーベルKompactがなければ、おそらくまったく違うことになっていただろう。Vermontはどちらのアーティストにとっても完全に個人的な意味を持つプロジェクトである。そして、そのケルンのレーベルがどのようにして、それをよりコミュニティにもとづいた、地元の、特別なものにしてくれたかをWorgullは説明する。WorgullとPlessowはふたりともケルンを拠点としているが、Worgullはいかに「それが自分にとって良いか」話している。「それはまさに家族だから。Kompactは地元のもので、ビジネスの関係じゃないんだ、もっとファミリーなものなんだよ」―― どちらのアーティストも、その環境からインスピレーションを得ることができ、また、彼らの方向性を理解し、その豊かな財産に大きくうなづいて高く評価するレーベルからリリースできているのである。

感情と特性を持った音楽となることによって、Vermontは洗練の域に入ってきている。しかし、ダンスミュージックからの転換とVermontのクラウトロックの要素が彼らにとってどれほど予想外のことだったかをPlessowは話している。「こういう方法でやるとは思ってもいなかったけど、ドラムマシンのスイッチを全部オフにすることが、その時すごく気分が良かったんだ」と彼は言う。ファーストアルバムと同様でありつつ、セカンドLPには、60年代後半から70年代初期のクラウトロックのムーブメントを現代的にとらえた、新たな13曲が収録されている。しかし、Worgullはあっさりと「このセカンドアルバムで僕らがわかったことは、いい感じがするものが正しい、っていうことだね」と言って、しめくくっている。ひょっとすると、実際はファースト以上に実験的であるかもしれない『Ⅱ』は、現代のアナログサウンドとアンビエントなムード、そして、ざらっとした感触のノイズを、彼らのホームタウンである西ドイツの豊かな音楽的伝統と融合させている。その本質は予測できない。そして、威厳がある、そんなVermontはあなたが必要としているエレクトロニック・ダンスミュージックからの休息だ。―― 「Vermontは僕たちにとって休暇に行くみたいなものなんだ」と彼らが言うように。

-----
VermontのLP『Ⅱ』は今年2月10日にKompactよりリリースされる。オープニングカット“Norderney”はここからストリームで聴くことができる。アルバムの予約はこちらから。






-----
インタビューということですが、なんともムズカシイ文章ではありました。というのも、地の文章にインタビューでの彼らのことばが組み込まれている構成になっているので。あと、それだと自分の中を通して聞く感覚になれず、ちと満足度低(あくまで私の翻訳作業としての満足度のハナシ)。内容はVermontのこれまでの経緯やふたりにとってVermontとは?といったことから、ニューアルバムの話まで、色々と。「疲れてたけど会ってた」とか、ちょっとおもしろい話もあったり。LIMITED EDITIONのGOLDEN VINYLは予約しました。ゴールドのレコードとか〜。楽しみ〜。LIMITED EDITION GOLDEN VINYL、2月6日現在はまだ上記リンク先のKompaktのサイトでプリオーダーできます。その他のフォーマットもサイト内にリンクありますので、ぜひ。



-----
No copyright infringement intended.