CRATE DIGGERS: MOTOR CITY DRUM ENSEMBLE | CAHIER DE CHOCOLAT

CRATE DIGGERS: MOTOR CITY DRUM ENSEMBLE

[ORIGINAL]
CRATE DIGGERS: MOTOR CITY DRUM ENSEMBLE
JANUARY 20, 2015
http://www.thevinylfactory.com/vinyl-factory-releases/crate-diggers-motor-city-drum-ensemble/



CRATE DIGGERS: MOTOR CITY DRUM ENSEMBLE


新しいシリーズでは幅広くさまざまなcrate diggerの人々を特集していきます。一人目は、Danilo Plessow aka Motor City Drum Ensemble。奇妙なdigの経験や私物のレコードについて、そして、「もしも家が火事になったら…?」をきいてみました。

— Danilo、あなたの「ホーム」はどこですか?

アムステルダム。うーん、もともとは南ドイツのシュトゥットガルトの出身なんだけど、ひとつのところにじっとしているのはあまりよくないと思って、それで住む街を変えてきた。前のガールフレンドと一緒の時はユトレヒトに住んでいて、今はアムステルダムに移ってきてる。

— digにはアムステルダムはどうですか?

アムステルダムはかなりいいよ。前に住んでたユトレヒトもほんとにすごく良かったけど。あんまりライバルがいないからね。アムステルダムに関しては、素晴らしいレコードはたくさんあるけど、すぐになくなってしまう、っていうことがある。ほんとにすぐに。それと、あんまり安くはない。掘り出し物を見つけるにはかなり一生懸命にならないといけない。僕はほんとすごくdiggerな方だから、レコードを探しにフリーマーケットに行ったり、国中を車で回ったりするんだけど、でも年々大変になってきているね。

— なぜ?

よりたくさんの人たちが、世の中にまったく知られていないようなものでさえも探そうとするようになってきてるから。みんななんでもよく知ってる。レコードショップ(の人たち)もみんな。ぜんぜん悪いとかそういうわけじゃないよ、でも、レコードショップもレコードの値段をつけるのに今はテクノロジーを使っているよね。

— 最近はチャリティショップも(レコードについて)よく知っているようですね。

チャリティーショップは唯一例外といえるかもしれないけど。まあ、今は(レコードショップと)同じようにレコードの値段をつけるチャリティーショップもあるね。それでも、まだいいものがあるから。2ヶ月ごとに、チャリティショップからチャリティーショップを車で回る小さなオランダ一周ツアーをやるんだ。時々ラッキーなことがあるよ。

— チャリティショップでの掘り出し物について教えて下さい。

たいていのチャリティショップはレコードショップほどにはプレスのことはわからないから、例えば、僕がたくさんBlue Noteのレコードを見つけたある店がオランダにあって、Blue Noteのほんとうの初回プレスはびっくりするくらい高いけど、でも彼らはそれを知らないから、Wayne Shoulderの“Speak No Evil”の初回プレスも2ユーロ(260円)で手に入れられた。ふつうは600ポンド(11,100円)とかするよ。

— あなたはBlue Noteの熱心なコレクターなのですね。

うん、でも何でも集めてるよ。良い音楽なら全部、何でも。特にこれといって集めているジャンルっていうのはない。もしレコードショップに行って、ある特定のジャンルを買うことに最初から決めていたら、なかなか掘り出し物には出会えないだろうし。ほんとうにオープンになって、幅広く当たってみないと。

— 最初に買ったレコードを覚えていますか?

もちろん覚えてるよ! 最初に買ったレコードはThe Awakingの“Mirage”っていう、Black Jazzレーベルのかなりレアなjazz funkのレコードだった。ちょっとおかしい話だから、みんなあんまり信じてくれないんだけど、ほんとにほんとで。シュトゥットガルトの近くの僕の家があった街にマンガ屋さんがあって、そこがレコードを売り始めたんだ。ちょうどその頃、サンプリングのためのCDを買うのをやめて、その代わりに、サンプルを見つけるのにレコードを買うようにしたいと思っていて。そのレコードショップに「よし、jazzのレコードを探さないと……Aから見ていこう」と思いながら入っていった。そこで最初にジャケットにひかれたレコードのうちの1枚がそれ(The Awakingの“Mirage”)だったんだ。「わー、すごいいいジャケットだなあ」って思った。

— どんなジャケットなんですか?

ええと、白と黒だけで、でもすごくファンキーで。Black Jazzのジャケットはどれもすごく良いと思う。それで、聴いてみようと思って、針を落としてすぐに最初のトラック……なんだっけ? あー、まただ、とにかく、素晴らしいコントラバスとブレイクビーツので、「うわあ、これはもうレコードを買うことにしないと」みたいになって。こういうのはCDでは見つからなかったから。それに当時、こういったものはインターネットにもなくてぜんぜん聴けなかったし。Blue NoteのRonnie FosterやStevie Wonderのものでも同じように戦利品があったし、Moodymannの“Silent Introduction”もかなり早い時期に買ってた。単にジャケットが気に入ったからなんだけど。何もわからずに。そのレコードを買って、家で聴いてみて、「ふーん、まあふつうかな」なんて思ってた。ほんとに何もわかってなかったと思う。でも何年かしてから、その中の1曲を誰かがクラブでプレイするのを聴いてわかった、「ああ、これはほんとにやばいやつだ」みたいな。だから、そう、たぶん、14歳くらいの時にそれを買ったんだけど、18歳になるまでよくわかってなかった。

— 1ヶ月に何枚くらいレコードを買っていますか?

それはどこでショウがあるかによるかな……旅行中にたくさん買うことが多いから。月に10枚のこともあるし、100枚のこともある。

— レコードのクリーニングはしていますか?

なんてことないクリーニング液でするだけ、だけど。VPIマシンとかそういうのは持ってない。どうしてもレコードをクリーニングする必要があったら、Redlight Recordsの隣にクリーニングマシンを置いている店があるから、そこに1ユーロでお願いできるし。

— コレクションは整理されていますか?

整理されてる、かな……あー、だいたいは整理されてるけど、そんな細かくとか、アルファベット順とかではない。soul、jazz、Brazilian、Afrikan……そんな風にカテゴリーで。

— 好きなレーベルは?

discoとかsoulとかそういったもの全般に興味を持つようになる前はほんとうにjazzに夢中で、特に60年代、70年代、80年代のインディペンデントのjazzが好きだった。ニューヨークのインディペンデントジャズレーベルのStrata-Eastなんかは今でもすごく好き。とてもたくさん良いレコードがあるから。

— 海外も含めてお気に入りのレコードショップは?

コレクションの数に関しては、ディスクユニオン渋谷にはほんとうにびっくりしたよ。あそこに行けば、これまでに一度も見たことがないようなレコードがだいたい全部あって、「なんだよ、これ。どうやったらこれ全部買えるだろう?」ってなる。まあ、もちろん、お金を払えばいいんだけど。ディスクユニオン渋谷以外にも、とても好きなお店はいくつかあるよ。サンフランシスコのGroove Marchantsは好き。ニューヨークのGood Recordsも好きだし、アムステルダムのRedlight Recordsも。最近の音楽のものだと、Rush Hourがとても好き。Antal(Rush Hourの共同創設者のひとり)とは良い友だちだよ。

— ここ、ロンドンはどうですか?

正直言うと、ロンドンではちゃんとdigに行けるほどの時間があったことがなくて。たいてい空港から会場まで行くのに時間がかかってしまって、ロンドンで過ごす時間があんまりない。でも、まだもっとブロークンビーツ的なのを作っていた頃、ロンドンに招待してもらった時のことは覚えてる。店の名前がわからないんだけど……掘り出し物コーナーがあるところだった。

— Reckless Records?

それだ。いいdiscoとboogieのを何枚か見つけたよ。まだそういうのにくわしい人があまりいない頃で。たくさんdubも見つけた。ロンドンはreggaeを探すのにもかなりいいね。

— 一番たくさんレコードに使ったお金はどれくらいですか?

250~300ポンド(46,250~55,500円)以上使ったことはないと思う。でも、7インチ、12インチ、LPにいつも150~200ポンド(27,750円~37,000円)くらい使ってる。ちょうど今週はMr.Wigg&Co.の“You've Got A Lot Of Living”を買ったところ。レアなmodern soulのレコードで、それに150ユーロ(19,500円)使ったかな。月に1、2回くらいこういうレコードを買って、あとは安いので補うようにしてる。

— レアなjazz funkで、なかなか見つからないMarc MoulinのジャズバンドPlaceboの“1973”を探していたそうですが、見つかりましたか?

見つかったよ。アントワープのぜんぜん知られていないレコードショップで40ユーロ(5,200円)で手に入れられた。その店はもうなくなってしまったけど。オーナーが末期ガンを患っていて。彼はほんとうに気むずかしい人だから気をつけるように、ってみんな僕に言ってくれてた。でも彼と仲良くなりたくて、彼の方の話も聞いて、そうとうがんばったよ。店にいる間、長い時間彼と話をした。その後、僕はたくさんレコードを選んで、それから、彼にPlaceboのレコードのことについてきいてみた。彼は、前に僕がその店に行った時もそのレコードを見せてはくれたけど、その時は「売れない」って言ってた。今度は、それを出してきて、その出してきたレコードをじっと見てから、「40ユーロで売ろう」って言ってくれたんだ。

— なるほど。では、次は難しい質問です。もしあなたの家が火事になったら……

わー、もう、やめてよ。

— 1枚だけレコードを持ち出すことができます。何を持ち出しますか?

それはほんとうにほんとうに難しい質問だな……ほとんど不可能だよ。うーん、考える時間が必要だなあ。

— わかりました。じゃあ、2枚持ち出せることにしましょう。

あー、必ずしもレアだからとかそういうことじゃなくて、Marvin Gayeの“Here, My Dear”かな、エンドレスで聴けるレコードだから。Marvin Gayeの“Here, My Dear”と、あとは僕にとってとても個人的なレコードなんだけど、Bobby Paunettoの“Paunetto's Point”っていうRatin fusionのレコード。これはとてもとてもたいせつで、人生のある時に僕にすごく影響を与えたレコードで。18歳か19歳の夏、このレコードをもうずっと聴いてた。今でもこれを聴くと、その当時の新しいガールフレンドと一緒にいた美しい夏に連れ戻されるような感じになる。だから、そう、これは絶対に選ぶもう1枚だろうね。

— 最後に。これまでで一番奇妙なdigの経験は?

んー、何かすごく変なのを思い出そうとしてるんだけど……レコードをめぐって人を刺したこととかないし……ちょっと待ってよ……ドイツのある店でのことかなあ。僕がその店に入るちょっと前に、誰かがライブラリーレコードのコレクションをまるごと売りにきてたんだ。でもオーナーにはそれが何なのかわからなかったみたいで。僕は積み上げられてたそれを全部買ったよ、大量のKPMとドイツのライブラリーレコードの山を全部、1枚50ペンス(925円)で。さらにものすごいことに、その大量のレコードの間に超レアなdiscoの12インチ、Betty Padgetの“Sugar Daddy”がはさまってたんだ。たいてい500ドル(60,000円)くらいはするやつだよ。ちょうどライブラリーレコードの間にとか、もういったいどうなってるんだ!?って感じ。大当たりだよ。僕の人生でこんなことはちょっとしかないよ。これがたぶん一番おかしなことだと思う。店に入っていって、100ドル(13,000円)のレコードを1、2枚選ぶとかそういうのじゃなくて、それをひと山まるごと買うんだから!





-----
これをまず最初に訳したのは、それほど長くなかったからとか、おもしろい内容だったからとか、このThe Vynil Factoryの動画がもう可愛すぎてやられたからとか、いくつか理由がありますが、それに加えて、「お気に入りのレコードショップ」で「ディスクユニオン渋谷」がまっ先に上がっていたから。日本のことが記憶にあるのね~と思ったら、すごく嬉しい~。レコ屋のことだけかもしれないけどサ、それでも真っ先に名前が上がるなんて嬉しいヨ! ていうか、いつでもまたきてね! どこでも案内するよ! セコハン・レコ屋ツアーしよう! なんならHARD OFFも行くかい! ほんとよ~。



翻訳的な話としては、ダニロの口調をどうするかでちょっと考えました。日本人のアーティストはインタビューでも丁寧語で話す人が割と多いけど、外国人、特に英語を話す人のことばは、その言語自体の特性もあって(敬語がない、ストレートな言い方になる、など)、めっちゃフランクに訳されているものがほとんど。映画や深夜の海外通販の日本語吹き替え口調といえばわかりやすいでしょうか。もちろん、そういう訳し方もひとつの文化というか、独特のおもしろさがあるし、嫌いなわけではありません。むしろそれはそれで好きです。でも、同時に違和感を感じることもあって。それで、少し前にSkylar Spenceのインタビューを訳した時はあえて「ですます調」にしてみたりしました。インターネットから出てきたアーティストやそれにたずさわっている人たちは、ふだんはTwitterなどでふざけていても、実際はすごくきちんと話ができたり文章が書けたりする人が多いと私は感じていて、スカイラーもそういった人たちと同じ匂いがするな~と思ったからでした。ただ、今回のダニロに関しては、たくさんインタビューの動画を見ていて、またちょっと違うなあと。フランクすぎず、「ですます調」でもなく、なんとなくさらっとした感じにしたかった。彼、表面に見えているところはどこか温度が低い感じもするというか。音楽以外のことに関してはあまり露出ないようですし。それでいて、フェスのDJ setの最後でたくさんのお客さんを前に感極まったりするような一面もあったりして、そういう抑えてる感情がどうしようもなくあふれてくるのを見るのとかほんとたまらないし、そんなところがすごく好き。訳は上手くできているかどうかはわかりませんが、私自身が原文を読んだ時の印象に近いものにはなったような気はします(あくまで私のスーパー個人的な脳内変換ですが)。他にもいっぱい好きなインタビューあるので、ひとつずつ訳していきたいなあ。
















-----
I'm so happy because a Japanese record shop came to your mind first of all when you were asked your favourite record shops. Please come to Japan again! Revistit DISC UNION & a little dig tour in Japan could be nice. I'm going to take you to DISC UNION, other second hand record shops and wherever you want. And of course I really really want to dance to your music! Please! I'm serious~ :)



-----
No copyright infringement intended.