私自身2022シーズンからほとんどホームゲームに行けなくなってしまったのでスタジアムでの空気を体感してはいないのだけど、去年の夏くらいからファミリー層が増えたような気がするのは気のせいではないはずだ。Twitter等でも――私は自分から積極的にチーム名や推しの選手名で検索したりはしないタイプだが――去年の途中くらいから、熱心にスフィーダを応援しているらしい新しい方をお見掛けするようになったように感じる。
 

 記録を辿ってみると去年のシーズン中断前の最後のホームゲーム(7/2の第15節 ハリマ戦@江戸陸)で、初めて幼稚園年長以上中学生以下の子ども対象の「応援うちわ作りイベント」が開催され、それ以来継続的にホームゲームでキッズ対象のイベントが行われている。特に9月から10月にかけて行われていたキッズスタンプラリーは、横目で見ながら「えー、キッズいいなあw」と思ったりもしたし、その期間ホームゲームに来た回数に応じてスフィーダファンなら絶対嬉しいチームのグッズだったり選手からのメッセージ動画だったりを貰えたらしく……これは非常にやり方が上手いと思った。子どもの心を掴めば、次節も子どもがホームゲームに行きたがる、しかし子どもは一人では行けない、親御さんの引率が必要になる、気付いたら親御さんも心を掴まれファミリー全体でスフィーダ推しになる、良いことしかない、やり方が上手い。

 ただ、それはそれである。あくまで私には他人事でしかなかった。我が家は子ども居ないしキッズ向けイベントは1ミリも関係無いしなあ――と、特に情報をしっかり得ようと思ったことも無かった。けれどそう思うと同時に……Twitterで見掛ける喜びの声は嬉しくもあった。

 

「家族全員でファンになりました」

「キッズ対象企画が楽しい、けどそれ以上に明るく優しくお話してくれる選手たちに本当に感謝しています」

「キッズイベントで試合前のピッチ内アップを間近で見させて頂きました」

 

(↑Twitterから一部抜粋させて頂きました)

 

 スフィーダを愛してくれる人が増えることも嬉しいし、なにより子どもと触れ合っている選手、自分の応援うちわを持っている子どもを見て笑顔で手で振っている選手を見ると私も嬉しくなるのだ。

 

スフィーダ世田谷FC公式選手インスタ【2023/9/13竹島加奈子の回】 

 
 この竹島加奈子(現・伊賀FCくノ一三重)のインスタでの文章を読んだ時、正直グッと来た。2021年シーズンからスフィーダ戦士に加わった加奈子の開幕戦でのデビューは本当に本当に鮮烈で、こんなに一人で何でも出来ちゃう子がどうしてわざわざ格上の伊賀からスフィーダに来てくれたのだろうか――と疑問に思うと共に、今後の加奈子と、この加奈子との連携でスフィーダの攻撃陣がどう変化していくのが楽しみで楽しみで仕方なかった。そんな加奈子の快進撃はシーズンが始まりわずか一か月ほど――第6節以降鳴りを潜めることとなる。どうやら怪我があったようで、そこからしばらくはベンチに入ることも無かった。第12節以降一度戻っては来たものの、シーズン開幕当初のようなスタメンからのフル出場という大活躍を見ることは、もう無かった。
 チームとしても、靭帯断裂や骨折のような大きな故障でなければニュースリリースに出さないこともあるから、サポーターが知らないだけで本調子じゃないのだろうかと思うこともあったけれど、どうやらそうではないらしかった。ポジションの問題だったり、他の選手との連携だったり、何らかの理由で神川スフィーダの構想から外れてしまったのだろうと思う。それ以上の理由は試合中の姿しか観られない……一サポーターの私には分からなかった。ただ、その加奈子がインスタでこのイベントに対してそう語ってくれたことが本当に嬉しかった。
 
▼上記リンクから飛べば彼女が貼り付けた写真と本文全文が読めるけれど、ここにも一部抜粋して載せてみようと思う。
 このような企画を考えてくれてる方や運営をしてくださっている方がいるからこそサッカーが出てきている!と感じれる時間だったし、いろんな角度、立場からチームのサポートを経験できているから色んな方への感謝が出来るのだと、当たり前じゃないと改めて感じれました‼️‼️ いつもありがとうございます。
 
「僕はいつもイベントのヘルプに来てくれる選手たちにこう言うんです。あなたたちは本来ここに居るべき選手ではありません。次からは来ないで下さい――って」
 キッズイベント担当のボランティアさんはこう語っている。キッズイベントの開催日というのはホームゲーム開催日だ。勿論、怪我のリハビリで戦線から長期離脱している選手についてはその限りではないが、それ以外の――怪我もしてない、自分としてはベストコンディション、けれどベンチに入れなかった選手たちに対して、励まし、鼓舞の意味でそう言葉を掛けるのだろう。そんな中で去年竹島加奈子は、おそらく試合に絡めない悔しい想いを抱えながらもこんなインスタを載せてくれたし、イベント担当のボランティアさんにも「こんな企画は自分たちで思い付かないから凄い」だとか、感謝とか、イベントの大切さ、キッズとの触れあいの大事さ……そんなことを直接語ってくれたそうだ。
 
 だいぶ竹島加奈子の話ばかりに逸れてしまったけれど、要はチームが企画して開催しているキッズイベントというものは、チームからキッズ、家族ぐるみで応援してくれるファン、サポーター側へ一方的に与えているものではなく、そんな触れあいを通して選手たちも何かしらを享受してくれて今後の何かに還元してくれる、そんな大事な機会なのではないか――そう私は思ったのだ。
 
 親御さんが子どもたちに対して何らかの説明をしない限り、子どもたちには、目の前に居る選手がどういう経緯があって今日のイベントに参加しているのかは分からないだろう。怪我をしている選手、まだ入団したばかりでなでしこリーグ初出場の日をまだかまだかと待ちわびている選手、かつてスタメンに居たのに最近は絡めていない選手、その事情は様々だろうけれど、子どもたちは目の前でニコニコ接してくれているお姉さんを応援したくなるだろうし、次のホームゲームに来た時にそのお姉さんがピッチ内でアップしていたら(イベントで絡めなくて)寂しい気持ちもあるかもしれないけれど、きっと喜んでくれる。
 2017年のシーズン途中でサミット様がスポンサー様になって下さり、翌年のシーズン開始時からスタジアムを青で占める割合が圧倒的に増えた、レプリカユニフォームまでは買わないまでも安価なコンフィットシャツの背番号12番を背負って一緒にハリセンを叩いてくれるサポーターが増えた。2020年からコロナの流行で、やむなく入場者数は減ったけれど、少しずつ流行が収まって来た2022年の中旬から、こうしてキッズイベントが盛り上がり家族ぐるみでスタジアムを楽しんでくれる層が増えた。試合の無い日も、祖師谷大蔵の駅前でラジオ体操イベントだったり、近隣のお店とのコラボでイベントが行われていたりする、本当に良いチームになったと思う。
 
 さてご存知だろうか、次節第3節、AGFフィールドで行われるオルカ戦では大人も参加出来る「応援うちわコンテスト」が行われる。いつもは先着20名の事前申し込み制で、中学生までのキッズしか参加出来ないうちわ作りイベントだけど、今回のコンテストは事前に自宅で作ったオリジナルうちわを持ち込んで後日選手たちに審査して貰えるらしい。
 
▼詳細はこちら
 
「えー、でも基本キッズ向けのイベントでしょう?」
「でも参加賞もあるので、大人の人にも是非参加して欲しいんですよ。うちわは選手たちにも評判が良いんです」
「それは可愛いキッズたちがうちわ持ってたら嬉しいんでしょうけど~」
 基本、ひねくれているショコラのツッコミに、イベント担当者さんが色々説明してくれた。
「キッズが持っているからではなく、ゲーフラみたいに、自分の為に自分の応援うちわを選んで作ってくれるのが嬉しくてテンションが上がるって、やっぱり自分のだけ無いと寂しいみたいですし」
 ――ゲーフラみたいに……。
 
 そう言われたら、推しのうちわを作らないわけにはいかなくなった。そんなに頻繁に三重県から東京のホームゲームには足を運べないので、今回は関東在住の仲間に宅配でうちわを送り、当日イベントブースに代行で提出して貰うことにした。
 
「これって……自宅にある要らない古いうちわとかを土台にデコればいいんですか?」
「それでもいいですし、今は100均に行けば推しうちわ作成コーナーみたいのがあって、そこで色々買えますよ」
 
 なるほど! 推しうちわって……ジャニーズのコンサートとかのイメージしか無かったけれど、最近こういうの増えてきたものね――と、私もDAISOに行って色々調達して来た。これは凝り出すととことん凝ってしまいそうな予感がする。勿論選手個人賞を貰えたら嬉しいけれど、参加賞もあるらしいから、これは賞云々ではなく参加することに意義がありそうだとも思った。普段キッズが持っているような、公式HPにある選手の顔写真を切り貼りしてメッセージだったり選手の名前だったりをデコっても構わないし、直接うちわにペンやマーカーで描くのもありだろう。パソコンのお絵描きソフトなどを使って描いたものを貼り付けても良いと思う。今日はまだ木曜日だ、今週のホームゲームは日曜日だ。このイベントに対して完全ノーマークだった大きいお友達、素材も何もないままどう作ったら良いか分からなかった人、大人も参加出来るの知ってたけど基本キッズしか出さないでしょ――と思っていた良い年した大人の方、安心して下さい、良い年したショコラも既に作成して関東エリアに向けて送りました。
 
▼ショコラがDAISOで調達してきたうちわ素材

 
 4/2のホームゲーム、私は三重県からのYouTube観戦になるけれど、試合結果は勿論のこと、うちわコンテストが盛り上がったら良いなあ――と心から願うばかりである。