「美味しかった~。」
「たくさん食べた?」
「うん。火鍋好きだから、嬉しいよ。」
「よかった。」
「でも、よかったの?」
「何が?」
「ヒョンの奢りで。」
「当然。これだけは譲れない。」
「ふふふ。ラッキーだな。」
「いや、俺にはこのあとのご馳走があるからね。」
「え?」
「いいや、じゃあ、行くか。」
「どこに?」
「ひさびさに、お家チェック。」
「僕の家、チェックしたって、な~にもないよ。ヒョンの家じゃあるまいし。」
「別なやつの香りがしないか、チェックだな。」
「するわけ……あ……!」
「えっ?(まさか?)」
「あの……。」
「え、えっ?(嘘だろう……。)」
「部屋に入る前に、少しだけ待っててくれる?」
「何だよ。俺に隠し事か?」
「いいじゃん。ヒョンだって、僕に言えないことあるよね。」
「ない!」
やめてくれよ。まだ、4ヶ月しかたってないのに……まさか、浮気?
チャンミンが嫌がるのに、俺は同時に部屋に入る。
リビングもキッチンも相変わらず綺麗で、隠すようなものはない。
俺がキョロキョロと辺りを見回しているときに、チャンミンがそっと寝室へと行く。
俺はすぐにそのあとを追う。
ベッドに置かれてあるのは……。
「それ……。」
「だから、見られたくなかったのに。」
「俺の上着?」
「そうだよ。寒かったから、出したんだ。」
真っ赤な顔で必死に言い訳をするチャンミンを抱き締めた。
「そうだな。最近寒いもんな。」
「……。」
「これなら、暖かい?」
「うん。」
「心配だな。」
「何が?」
「寒い季節なのに……。」
「ヒョンみたいに、暑いときより、きっと楽だよ。」
「はあ……ずっと、こうしてやりたいのに。」
「ずっと……そばにいて……」
あの日が近いからか、ひさしぶりだからなのか、甘えベタのチャンミンが今日はやけに甘えてくる。
「やべ……。」
「何でヒョンの方が、泣いてるんだよ?」
「ちがっ!目に汗が入ったんだ。」
「年よりはこれだから困る。」
「二歳しか違わねぇし、年寄りじゃねぇし……。」
「もう、仕方ないな。」
こいつの不安な気持ちを思ったら、ぐっときてしまった。
「僕が抱き締めてあげる。」
二人でひとつ。
俺達は、離れてても繋がってるよ。
(このあとは……)