さて、粋なお店めぐりはまだまだ続きます
その3、飲み屋
友だちが
「今日は行きつけの飲み屋で
そばの会があるから行こう」
ということで、行きつけの飲み屋へ。
すると店は長細ーいカウンターのみで、
店奥に行くのに1人1人に少し中腰になってもらわなあかんほどの狭さ。
収容人数10人程度の店内は満席で、
狭いカウンター内には3人のおっちゃんが…
なんでも今日は店のマスターの友だちのおっちゃんの
趣味のそば打ちを披露する会らしい…
アットホーム・・・ステキ
一枚の大きなザルにあげられたそばや天ぷらが、
そば(冷)→温→冷→天ぷら→温…
というように次々にカウンター内から出てきて、
カウンターを右から左へ取っては隣の人へ回していく…
おなかがいっぱいになっても容赦なく回ってくる。
しかも私たち3人はカウンターの左端やったので、
全部さらえなければならないようなプレッシャーと満腹感に苦しむ
そんなかんじで胃がはちきれんばかりに食べて飲んで、
お値段わずか1500~2000円
地場のそば粉を使った茹でたてのそばは絶品で、
そば湯がまためちゃまったり甘くておいしくて最高
おいしいというみんなの顔を見て、
そばを打ったおっちゃんもうれしそう
初めて顔を合わせるもの同士がほとんどで
いろんな年齢層の人が集まる店内やのに、
ひとつのお皿を分け合い、みんなで感想を言い合って和気あいあい
今まで食べたそばの中で、
一番心に残るそばでした
喫茶店ではなく珈琲屋らしい。
「この店開いてんの初めて見た、
行こ」
と珈琲好きの友だちが入っていった…
すると入るなりマスターが、
「うちは珈琲しか出さないけどいいの?
イヤなら余所へ行きな」
入るなりそれかーい
帰ろうかと思いきや、友だちが
「はい、いいです」
っちゅーことで一杯飲んでくことに…
しかしこの店にはメニューはなく、
「どんなのが好きなの?」
マスター曰わく、
同じ豆でもその日の気温、湿度、淹れ方で
珈琲は変わるので、同じ珈琲は2度とは作れないそうな。
とりあえず酸味が少なくコクのあるのを作ってもらうことに。
さすがこだわってるだけあって、
珈琲が出来るまでに30分ほどかかり、
その間、マスターはなぜここで珈琲屋を営むに至ったか
という今までの人生を語る
サラリーマン→喫茶店のバイト
→ジプシー(つまりホームレス)
→海外
→喫茶店
→珈琲屋
やったかなぁ…
離婚した話やら慰謝料はどうしただのまで聞かせてくれ、
なぜかジャズシンガー綾戸智●の人生にまで話が及ぶ。
そうこうしてたら珈琲ができた
マスターの珈琲への熱い思いを聞いたので、
かなりハードルの上がった珈琲でしたが…
確かにおいしい
珈琲ってこんなに味がするものなんやって驚き
クセがなくすっと受け入れられるけど、
後味にしっかりとコクが感じられる…
その後、話はマスターの人生論に移り、
うんうんと聞いてて、ふと横を見ると
金沢在住の友だちが泣いていた
滞在時間一時間弱。
珈琲一杯五百円。
その一時間も一杯の珈琲も、
いまだかつて感じたことのないほど濃厚でした。