公益財団法人アイメイト協会の調査で、盲導犬を連れた視覚障害者の約9割が、外出した時に嫌な思いをした経験があることがわかりました。
今年3月に、アイメイト協会が全国259人の盲導犬利用者に調査を実施したところ、102人から回答を得ることができ、そのうちの91人(89.2%)が、盲導犬を理由に嫌な思いをしたことがあると回答しました。
その中でも、レストランなどの飲食店の入店拒否が78.9%と最も多く、ホテルなどの宿泊施設への宿泊拒否は33.3%という結果になりました。
法律で盲導犬の同伴を拒むことはできないと決められていますが、このような状況について、特定非営利活動法人日本障害者アイデア協会理事の南部弘樹弁護士によると、盲導犬同伴者の入店拒否に関して問題となる法律は、身体障害者補助犬法と障害者差別解消法の2点があるそうです。
身体障害者補助犬法は、「盲導犬や聴導犬、介助犬を連れた障害者の方に関して、不特定多数の人が利用する施設の管理者は、同伴を拒んではならない。」と決められていますが、違反したとしても罰則はありません。
もう一方の障害者差別解消法は、今年4月から施行されており、「障害に関することを理由に不当な扱いをしてはならない。」と決められていますが、こちらも違反しても罰則はありません。
しかし、悪質な業者に関しては、国が報告を求めることができ、この報告内容に虚偽があった場合は、20万円以下の過料が取られます。
実際にあったケースでは、盲導犬を連れた男性をタクシーが乗車拒否したことに対し、タクシー会社へ行政処分が下りました。
タクシーは客を拒んではいけないという道路運送法で決められた法律がある場合は、このような罰則の対象になりますが、それ以外で盲導犬の同伴を理由に拒否することに罰則を科すことは、まだ早いという政策判断がされています。
高齢化が最も進んでいる日本は、日本の人口の20%が70歳以上の高齢者で、約6%が障害者で占めています。
店側にとっても盲導犬を拒否することは、店の収益に関わることを理解するべきです。
お客さんの立場としては、将来自分や家族が障害者として、盲導犬などの助けを必要とする日がくる可能性があることを理解しておくべきです。
盲導犬などの人を助ける犬たちが受け入れられ、誰もが暮らしやすい社会の実現を進めていくことが、全ての人にとっても利益になることです。
【知って欲しい盲導犬のこと】
盲導犬などの補助犬の受け入れをスムーズに行い、障害者の方が社会への進出と自立を促進するために、平成14年(2002)5月、身体障害者補助犬法が成立しました。
この法律では、国等が管理する施設に身体障害者補助犬が同伴することを拒んではならないとされており、10月1日から施行されています。
また翌年10月からは民間施設に関しても同様に規定されました。
さらに、先述した障害者差別解消法は平成28年(2016)4月に施行され、補助犬を拒否することは差別になるとされ、受け入れの拒否があった場合は、解決に向けて具体的な検討を行う機関を設置するようになっています。
このような法律が定められているにも関わらず、入店拒否が実際に起きているのです。
ほとんどのお店では、このような法律があることすら知られていないのではないでしょうか。
まずは、法律の認知の低さを変えていかなくてはいけません。
一般の人が盲導犬について学ぶ機会はなかなかありません。
知る機会を無理にでも作る必要があると思うのです。
学校で教える、講演会を行うなど、どんな形でも聞く機会を作ることはできると思います。
特に、タクシーや飲食店、宿泊施設の関係者には、この法律を理解していただく必要がありと思います。
そしてまずは、一人ひとりが視覚障害のことや、盲導犬のことを知ることが大事なのではないでしょうか。
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