【熊本地震への派遣取りやめも?】
NPOなどがボランティアを被災地にバスで派遣する「ボランティアバス」で、公募した参加者から参加費を直接集めるのは実費だけでも旅行業法違反として、観光庁が5月末、業者への委託など是正を求める通知を全都道府県に出していたことが分かりました。
ボランティアバスは東日本大震災以降、全国で広がり、事実上“黙認”されてきたが、一転して厳格化の方針を打ち出しました。
多くは法に抵触するとみられ、熊本地震への派遣を取りやめる動きも出ています。
旅行業法は主催者が報酬を得て運送や宿泊を行う場合、国や都道府県への事前登録を義務づけています。
同法の施行要領では、旅行者から金銭を受け取れば、「報酬」と認定されます。
通知は5月25日付で、「登録を受けていないNPOや社会福祉協議会が主催者となり、参加代金を収受してボランティアツアーを実施する事例が見受けられる」と参加費の徴収を問題視しています。
主催団体に対し、旅行業者として都道府県や国から登録を受けます。
業者にツアー自体や参加費の徴収を委託するなどを指導するよう都道府県に求めました。
観光庁観光産業課によると、今年5月、熊本地震の被災地に向かうボランティアバスを巡り、各県や同庁に「旅行業法に抵触しているのでは?」との電話が多数あったことを受けた対応です。
同課は「参加者を公募し、参加費を収受した時点で旅行業法に抵触する」とし、主催団体が利益を得ない場合も徴収は認められない。
違法にならないのは参加費を徴収しない、または公募せず顔見知りだけで同乗の場合。
影響は既に出ており、福岡県のNPOは5月中旬、熊本地震のボランティアバスについて、同県から「旅行業法違反では?」と指摘を受けました。
「誤解を招かないように」と3000~4000円だった参加費を無料にしました。
大阪府などの団体は熊本への派遣を中止しました。
NPO関係者は「被災地のボランティア活動を続ける為にも何らかの支援策が必要」と話しています。
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