超ビギナー的PBリーディング第12弾です。
The Twelfth Card ―― Jeffery Deaver
- The Twelfth Card: A Lincoln Rhyme Novel (Lincol.../Jeffery Deaver
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「140年前の私の祖先の秘密って??」
1人の少女が真相に迫る時、自身の”秘密”も明らかになって――
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全てはジェニーヴァという16歳の少女が図書館で学校の課題のために調べ物をしていたところから始まります。ジェニーヴァは背後から男に襲われかけますが、なんとか逃げ切ります。
駆け付けたライムチームがレイプ未遂かと思っていた矢先、メンバーのうちの一人、ロン・セリットーの目の前で聞き込み途中の図書館司書が射殺されるという最悪の事態に。
現場である図書館には強姦を連想させる証拠と、意味ありげな”Hanged man”のタロットカードが。
オカルト??愉快犯なのか・・・??
捜査を撹乱するためにレイプに”見せかけた”証拠から、ライムはこの男は他でもないこのジェニーヴァを殺そうとしているのだと確信します。そして捜査を進めるうち、このジェニーヴァが調べていた「140年前の祖先の秘密」が関係していると推理します。奴隷解放の波乱を生き抜いた彼女の先祖・チャールズがその家族に宛てた手紙から何か掴むことはできるのだろうか・・・。
そしてライムたちはこの犯人を"Unsub109"と名付けて捜査を進めます。
ジェニーヴァはハーレムで暮らすごく普通の黒人少女に見えるのですが、彼女の父親は大学教授で外国に講演等で飛び回るエリートでした。ちょうどこの時もロンドンに出張中とのことで、彼女の伯父が家で待機、警備はもちろんエキスパートである二丁拳銃のベル・ローランドが担当することになるのですが・・・。
彼女は明らかに自分が狙われていることを分かっているのにもかかわらず、テストの方が大事だと言い張り、どんなことをしても学校へ戻ろうとします。これにはさすがのライムも根負けして、ベル・ローランドを常時警備に付けることを条件に、学校へ向かわせます。
しかし、学校にも怪しい人影が・・・ジェニーヴァを狙う男が目撃されます。
この男はUnsub109の手下なのか??
やはり外に出るのは危険だと判断したライムはしばらくジェニーヴァを自分のもとに滞在させることにします。そしてこの間にあるハプニングが起こり、この少女の驚くべき真実が明らかになります。
「ハーレムなんて、私がいるところじゃない。一生懸命勉強してこんな世界、抜け出してやる」
人を信用せず妙に大人びたこの少女・・・実は父親の家庭放棄、母親の死を乗り越え、今までほとんど人にたよらず一人で生きてきた孤児だったのです(父親が大学教授というのは嘘だった)。高校ではストレートAの才女ですが、周囲に両親がいないというこの事実を知られては全てが終わりだ・・・と必死に優等生を演じた結果だったのです。
一方、捜査の方は前進し何とかUnsub109のアジトを割り出すことに成功。そこから押収したものには図書館周辺の地図と逃走経路のような印が。やはり犯人の狙いはジェニーヴァで、彼女が探っていた真実と関係があると確信、その過去の文献を徹底的に調査します。
そこから明るみになったある場所へサックスが赴き発掘調査をしたり、図書館へ行って140年前の文献を調査したりするのですが・・・
その間捜査本部では図書館での襲撃事件と類似する過去の事件を調査していました。そして1件ヒットするものが。それは刑務所の守衛が被害に遭ったというものでした。
囚人とトラブルになったのか?だとすれば元囚人を徹底的に洗い出せ――
しかしライムはあのカードの持つ意味をもう一度考えます。
刑務所・・・"Hanged Man"のタロットカード・・・
Unsub109は・・・囚人ではなく・・・"Executioner"?!
この線で推理を進めていくうち、ある人物の名前が浮上。居場所を特定することに成功します。
サックスの見事な逮捕劇により、ついにUnsub109が捕えられるのですが・・・
この居場所から押収されたものは今までのライムたちが推理してきたものとは全く違う動機を示していました。
誰か別の人物からUnsub109に宛てたメモが見つかったのです。
「我々の計画が見られた可能性がある。少女を殺せ」
この「計画」というのは、様々な証拠を分析した結果爆弾に関係があるということが発覚。
この一連の殺人は爆弾テロ計画を少女に見られたから・・・?
黒幕は一体誰――
ライムたちが捜査の方向を劇的に転換させようとしていたその時、すでに事件は起こっていました。
フードデリバリーのアラブ系の男がバンの中で爆死していたのです。ライムたちは結局は黒幕が自爆テロを起こしてこの事件を終わらせたのだと考えます。
全てが終わり、ジェニーヴァに迫る脅威はもはや消え去ったかと思ったその時・・・。
思いがけないところから新たな刺客が!!
そして140年前の先祖チャールズに起こったミステリの紐が解かれていく――
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いや~しかし今回もよかった。上昇気流に乗ってます、J・ディーバー。
意外性とどんでん返しがとってもいいんです。個人的には「The Bone Collector」 「The Broken Window」 が別格のおもしろさなのですが、これはその次におもしろい作品です!!
前回「The Vanished Man」 はテーマ自体が派手めでとにかく惹きつけられる設定やったからおもしろかったけど、プロットは非常に単純でした。
一方で今回はJ・ディーバーお得意の凝りまくった仕掛けとどんでん返しが随所に見られました!これぞディーバーミステリの真骨頂。
読み進めていくうちに、私の中の「いかにも怪しい人リスト」の中からどんどん候補者が姿を消していくんですwそして最後には「えっ・・・・。まさか?!この人も??!!」という展開に。
そして個人的に食いついたのは、何といっても「The Broken Window」で胸キュンだったプラスキー新米刑事!!
この「The Twelfth Card」で衝撃的なデビューを果たしていたとは知らんかったぞ~。
しかも警備中に犯人に顔面殴られて意識不明の重体になってるし!!
え~ん。
(これで「The Broken Window」で頭の傷が・・・って何回も彼が言ってた謎が解けました!)
前回「The Vanished Man」の最後に出てきた意味深な事件の続きもしっかり描かれているし、前回「いつかどこかでまたカーラに会えたら・・・」と思っていたらいきなり冒頭でカーラがゲスト出演するし!!
のっけからテンションが上がってました。
今回はいつもしわくちゃのスーツを着た大男、「しわくちゃ刑事」ことベテランのロン・セリットーが緊迫感あるシーンを多く作ってくれました。図書館司書が目の前で銃殺されるも何もできず・・・その後もトラウマとなって捜査をうまく進めることができません。挙句の果てには普通ならあり得ない「誤射」という大失敗までしでかしてしまいます。しかし「ここで諦めてどうする」と、自分に課せられた使命を強く再認識し、体当たりで犯人のアジトへ――。
ロンを気遣ってそっとフォローするサックスやライムがまた優しい・・・もうここまでくると、ライムチームはそうとう強い絆で結ばれているのでしょうね。
さて、本作はほとんどハーレムが舞台となっているのですがこれまた"African American Vernacular English"(AAVE)が多いんですね・・・。もう何言ってるんか分かりません汗。
3単現無視、二重否定、略語・・・ほんま読めません。。AAVEってコツみたいなのがあるのでしょうか?慣れしかないんでしょうか?^^;
それとやたら
"Yo, yo, my man, where's the benjamins?"
みたいなのが出てきますが、"benjamins"って100ドル紙幣のことなんですね。「諭吉さん」みたいなもんなんですかね?
それにしてもラストのシーンではとても感動しました。ライムが密かに続けていたエクササイズが実を結んだのです(ライムは首から上と左手の薬指しか動かせない)。サックスの手をライムが右手で握り返すなんて・・・ほろりときました。
普通恋人なら手を繋ぐなんて自然にしていることですが、この「当たり前」のことが、彼らにとっては本当に大きな意味になるんですよね。。。奇跡を起こした二人にこの先もっともっと活躍してほしいです!
「The Cold Moon」が楽しみです。