「あー、もう、みゆきはまた切れ端ばっかり食べてー」


夫が大げさに顔をしかめながら

自分の皿から私の皿へ

お刺身の大きな切り身を分けてくれた。


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おばあちゃん、おじいちゃんや私達にばっかり

美味しいところを食べさせて、自分では端っこの

身がないような所ばっかり食べてる。

美味しいところも食べればいいのに。


祖母はいつでも、美味しいもの、楽しいことの全てを

祖父や孫に惜しみなく分け与え、

自分は隅っこに座り、ただにっこりと微笑んでいた。


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結婚し、愛する人と生活を共にするようになると

無意識的に、私は祖母と同じような事をしている。

夫に言われるまで気付かないくらい、自然に。


大切な人への気持ちは

自然に行動に出てしまうのだ。


おばあちゃん、いつも我慢ばかりして可哀想


そんな風に思っていた昔の私。

でもそれは、全く余計な心配だった。


祖母は愛する人を大切にすることで

満たされた、幸せな時を過ごしていたという事が

今になって、ようやく、わかるようになった。