ベルトのムチは、いつものことだったけど、小学五年生頃、どんどん虐待がエスカレートしていった。



ある時から、私を足で踏みつけて、動けないようにして、ベルトで叩くようになった。

痛さはそこまで変わらなかったと思うけど、
逃げることができない
踏みつけられている
ということが、私の心を握り潰していった。
すごくすごく、ショックで、悲しかった。





ベルトは通常、女性用の3cmほどの幅のものを使っていたが、
時々、父の肩身の2~3mmの厚さの、カウボーイのようなベルトで叩かれる時もあった。

主に兄に対してだが、私も時々そのベルトで叩かれた。
肉がちぎれるように痛い。
骨まで響く。



ごく稀に、ベルト金具の部分を先端にして打ち付けることもあった。
初めは兄から。
肉がちぎれて、骨が折れてしまうんじゃないかって、怖かった。私も何度か打たれた。
きっと本気で振りかざしたら、簡単に血だらけになるんだろうな。
そう思いながら、その日が来ないことを願った。




悲しかったのは、慕っていた祖母が、母にもう止めるように言っても聞かなかったので、私の上に覆いかぶさって、守ってくれた時。

それでも母は止めなかった。
祖母の腕の隙間から、ベルトを小さく持って私を叩く。
時々それが祖母に当たって、痛そうに「ビクッ」て反応する。


「おばあちゃんを叩かないで!!やめて!!」
そう思いながらも私はそこを動けなかった。
祖母の腕の中で、私の代わりに祖母が叩かれているのを感じた。
本当は、祖母を振り払って逃げたかった。
祖母が叩かれないように、守りたかった。
でも、出来なかった。
「おばあちゃん、ごめんね、ごめんね。」
そう思いながら、腕の中で少しばかりの安全を感じていたような気がする。



この頃、ドラマ「家なき子」が流行っていた。
私は夜、テレビを見る権利は無かったが、友人が録画して貸してくれた。
それを母が仕事から帰ってくる前に見る。



悲しいストーリー。泣ける話。
私が一番泣いたのは、腕のアザを先生が見つけた時。
私は見つけてもらえなかったから、うらやましかった。
こんな、みんなが「かわいそう」って言っている「家なき子」よりも自分の方が可愛そうだって思った時、涙があふれた。


このままではいけない。


このドラマを見て、そう思った。
それまでは、変えられないものと思っていた。
でもドラマを見たことで、少し勇気が湧いてきたんだと思う。



保護してくれる施設を探すのもアリだし、
次叩かれたら警察に通報するのも良い。


時々、そうやって考えを巡らせていた。