なつかしのお店 | 金魚のあぶく

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 はるか昔の話。名古屋の地下街にたしかギャザーハウスという明石焼きのお店があった。カウンターだけの小さなお店だったと思うけど初めて食べた明石焼きは熱々でたこ焼きと似ているけど別物で美味しかった。

 先日、コストコで冷凍の明石焼きを買ってきた。8袋入っていて、私と夫と息子で食べた。夫と息子は気に入らなかったようだ。残りの5袋は私が食べることにして1人のお昼なんかに食べている。夫に「明石焼き好きだったの?」と聞かれたので「別に好きじゃない。たこ焼きの方が好き」と答えると「えー?食べたいから買ってきたんじゃないの?」と聞くので、正直に「好きじゃないけど食べたくなるの。そういう食べ物もあるの」と答えた。答えながらいろいろ懐かしいことを思い出して、心の中で「好きな男と食べた思い出があるから食べたくなるの」とつぶやいた。いえいえ、私も忘れかけていたんです。明石焼きの箱を見て食べたくなって買ってきた。食べたら思い出した、って感じです。 

 好きだった人が明石焼きを食べたいと言って、ギャザーハウスで食べたのです。わざわざ食べにいったのか、どこかに行く前にいったのか、帰りに食べたのか、どうしても思い出せないけど、確かに2人で食べたのです。彼は亡くなってしまったのでもう確かめることはできません。ただ懐かしい思い出です。人は二度死ぬと言いますよね。肉体が死んだ時と、誰にも思い出してもらえなくなった時。たぶん私が忘れた時が彼がほんとうに死ぬ時です。私が覚えている間は彼は死んでいないのです。私が思い出すことが供養だと思っています。すぐに亡くなったしまったのでとても少ない思い出を大切にしてきたつもりだけど、それでも忘れていくのが悲しいですね。