フィクション | ☆空飛ぶ もとちくれった 出張所☆

フィクション

生きているだけで、誰かを傷つけたり、損なったり。
属して生きることは簡単で、シンプルで、やさしくて
だけど、苦しくて哀しい。それに難しい。

すべての生きとし生けるものに愛されたい。
今日、外で歩いたときに通りすがった人たちにも
「なんてすてき。偉大だわ。」と思われたい。

だけど、それはむり。
私はそれに値していない。
私は私を曲げられない。
そして、曲げたくないと強く思っている。
歪んでいるし、間違っていたり、未成熟で、浅はか。
それでも、私はそんなことを奥の奥の奥の方で思っているので、時々とても、本当にとても苦しい。

過ぎ行く日々の中で、私はそんなに素晴らしいものではないと実感していく。
過ぎ行く日々の中で少しずつ、私はそれが無理なのだということを体感していく。
馬鹿馬鹿しいくらい、時間がかかっている。
本当に、とても時間がかかっている。
けれど、私はじりじりと前にはいつくばって、ナゾの匍匐前進を続けている。
それは、なんだか素敵だとも少しだけ思っている。

何故、人は人の中でしか生きられないのか。
どうして、何かを、誰かを、答えを、希うのか。
愛され、受容され、抱きしめられることを願うのか。

何故、前提を見直そうともせずに、人に疑問をぶつけるのか。
私の問いは、私の掌の設問は、適切だろうか。
私の持つ私の問題を解決したのだろうか。
解決し、私は成熟し、その後で世界に手を伸ばしているのか。

時々、決定的に人を傷つけたり、貶めたりしたいと、暴力的なまでに思ってしまう。
傲慢で底意地の悪い私がいる。
それが、たまらなく恥ずかしい。

それにも関わらず、私は私をいとおしいとすら思っている。

時々、この両腕が誰も彼もを、あの生き物を、地球を、宇宙を、抱きしめることが出来たらと
地を這うように思ってしまう成長出来ない私がいる。
それが、たまらなくもどかしい。

ただ、つまらないことを重ねている。
自分を振り返って見ることも出来ずに蓄積された、きたない気持ちで爆発しそうな怒りを
ぐっ、と我慢してみる。外に出さない覚悟をする。
はちきれそうになる。手が震えて、グラグラしてくる。
一人だけで、何の欲求も満たさずに、闘う準備をする。
自分の目を、自分だけに向ける準備をする。汚く、何かにまみれた自分をじっと見る。

猫が。

どこかの公園で、皮膚病も患った野良猫が、死にかけている。
あの猫は、このまま放って帰れば死んでしまうだろう。
でも、結局のところ私は必死で見なかったことにしようとする。
罪悪感と無力感と、打算でモヤモヤでいっぱいになった心をにぎりしめて。
にぎりつぶれてしまえと呪う。

今日、私が下した決断と、今日、私がした行為は愚かだった。
昨日も、その前もそうだった。明日もきっと愚かなことをして終わる。
それでも、それは取り返しのつかないことなんかではない。
取り返しのつかないことなど、そんなにたくさんはない。

あの美しい公園はもう、ない。

幼い私が、妹が、はじとはじから木を渡り、出会って、手を合わせた。
丸太のはしごを上り、砦から下に広がる世界を見渡した。
木で出来た基地から、ポールをよじ登り、高いところまで、一番高いところまで登った。
あのときの目に広がる、全ての風景をもう一度見たかったのに。

暖かく、涼しい、乾いた巣の中で泣きながら、私は私をあやす。
いろいろなことを垂れ流さないという、出来ぬ決意を今日もしながら。
誰を傷つけても構いはしない。
傷つけずに生きられるほど賢く、強くはなれない。
だから、もう2度と同じことで誰かを傷つけないようにそれを刻む。
2度と、と言いながら何度も繰り返すことを知ってはいても。
刻めど、泣けど、繰り返すことを知ってはいても。

明日また卵から孵り、巣立って、私は私を生きる。



2008年6月18日(水)PM:10:11に上げた記事です。

物語として書いて、こっちに移すときに追記として書くのもなんだかなあ。