また旅猫~道中:しまりす~
やんすねぇ~ やんす~♪
…おや、渡り鳥の声が聴こえるでやんす。
渡り鳥って誰かって?そうでやんすねぇ…。話せば長くにゃるでやんすが、いいでやんすか?
え?旅路は長いって?ははははは、そうでやんしたね、あっしらは歩き始めたばっかりでやんしたね。
渡り鳥に出会ったのは、かれこれ3年くれえ前でやんすかねぇ。
旅に出たばかりのあっしが、なにやら心細くにゃって
曇った日にくるりとまるまって狛犬相手に独り言をつぶやいていたころでやんす。
着いた城下町をひととおり歩いていると、物語屋を見つけたんでやんす。
物語屋って何か?って、あんた、そんなことも知らねえんでやんすか。
そうでやんすか、あんたまだ旅に出たばかりにゃんでやんすね。
物語屋ってのは、その店によってでやんすが、毎日とか一日おきとか、はたまた一ヶ月おきとか
てきとうな時に少しづつ物語を聞かせてくれるところでやんすよ。
あ、鰹節食うでやんすか?いらねえ?美味いでやんすよ、この鰹節。
聞いたその日より前のお話は、店の奥に巻物にしておいてありやしてね、それも読ませてくれるんでさ。
あっしは、もともとにゃんかを読んだり聞いたりってのが三度の飯より好きでしてねぇ、
そんときもそりゃ夢中ににゃって読んだし、聞いたんでさぁ。
そこの物語屋は、ときおり物語の合間に栞が挟まれるんでやんすが
その栞にゃあまた別のお話しがありやして、それもひっくりけえるほど楽しかったでやんす。
その物語屋が渡り鳥の店だったでやんす。
あっしは毎日かよって、ああ、毎日ってのは、その物語屋は
物語を毎日話してくれるってのも看板でしてね、ええ、毎日通ったんでさあ。
通い詰めてるうちに、あっしはどうしても渡り鳥と話してみたくにゃってねえ
思い切って、え?勇気がいったのかって?
そりゃそうでやんす、今でこそいっちょめえに見える旅猫でやんすが
あっしは内向的でてめえ勝手な猫族でやんすからねえ。
好きににゃれる生き物が少ないんでやんすよ。だから考えやした。
声をかけても、ひょっとしたら気に食わなくなって食っちまうかもしれねえって。(比喩表現でやんす)
さっとつかまえて、むしゃむしゃむしゃ!
あ、怖がらなくていいでやんす、今は腹がふてえから獲って食ったりしねえでやんすよ。
あっしは腐っても猫でやんす。哀しいかな、猫の模様は消えねえでやんす…。
けどね、あっしは猫の習性よりも強く、あっしの習性を持ってるんでやんすよ。
だから思い切って声をかけたんでさぁ。
渡り鳥は、そりゃあでっけえ、びっくりするくれえでっけえ好奇心と
それをつるりんっと飲み込む器量持ちでやんしてね
ふさふさのあっしを見てにっこり笑って、あっしの頭にとまったんでさ。
あっしと渡り鳥は、城下町を基盤にお互い気ままに遊びに行っちゃ
お互いの家で、あーでもねぇ、こーでもねぇ語り合いやしてねえ。
気ままに遊び歩く先で出会うことも、よくありやした。
「おや、旅猫さん、また会ったね^^」
「いや、どうもどうも」
にゃんてね。
そんな風にあっしと渡り鳥は知り合って、日をつむいだんでさぁ。
よもやま話に夢の話、物語に語り合い、問うて問われて、共に考えて。
楽しかったかって?そりゃあもう!
そりゃあ楽しかったでやんすよ。答えの出ねえ問いもたくさんあったでやんす。
あっしはまだ若え猫でやんすから、にゃかにゃか悟れねえでやんす。
今もまだ答えの出ねえことがあるでやんす。
しまりすさん、あっしはね今も考えているんでやんすよ。
この旅が終わるのは、その答えが出たときでやんす。
渡り鳥に、あっしなりのその答えを話したとき、あっしのここいらの旅は終わるでやんす。
世界ってのは、そりゃあ広い。
ここいら辺りでも、そう簡単に旅が終わらねえでやんす。
ここいらの旅が終わっても、世界はまだまだ旅するところがいくらもあるでやんす。
もしもこの旅が終わっても、あっしは生涯旅をするでやんす。
あっしは旅猫でやんすからねえ。
しまりすさん、疲れたでやんすか?そりゃすまねえ!
小せえしまりすさんが、あっしに合わせて歩くのは大変だってことに気付きやせんで。
もう少しだけ歩いたら、気の利いた旅籠がありやすから、あと少し辛抱しておくんなせえよ。
ほら!あそこでやんす。
おっ!見てみな、しまりすさん!虹が出てるでやんすよ!
旅はいいでやんすねぇ、しまりすさん。
2008年6月1日(日)PM:0:20に上げた記事。
旅猫2話め。わたりとりさんとこで鳥さんの記事が上がったので、反応。
どうせ書くなら、とわたりとりさんとの出会いの頃を旅猫ワールド風に書いた。
旅猫さんは、最近ちょっとお疲れみたいで、神社の境内でシッポを丸めて寝ています。
今、暑いしね~。神社の境内は涼しいんでしょう。にゃんにゃん。