本日、運営より、「【Amebaカスタマーサービス】重要なお知らせ」 というメッセージが届きました。
アメブロ運営御中
「Ameba利用規約」 (平成30年12月25日改定) の第13条には、「禁止事項」 が定められており、現在は、第4項(1)に規定されている 「良識に欠けるものや、品位に欠けるもの」 の規定を判断基準として、「表示禁止」 措置を取っているものと思われますが、
まず、運営者がこれらの判断基準に基づき、いろいろな措置を取ることについては、全く問題ありませんし、判断主体が運営者にあることも問題ありません。
しかし、判断基準による判断は、運営者の主観をどの程度包含されるのかは、少なくともサービス提供側と利用者の間で合意を形成する上で、とても大切なことです。
必ずしも論理的に基準を落とすことが出来ない以上、運営者個人の感性による部分もあるかも知れません。しかし少なくとも、サービスを継続される上で、一定の連続性は確保されるべきでしょうから、組織的には、何らかの基準を用いて判断されていることとは思います。
では、この絵は、どのように判断されましたか?
少なくとも、御社が規定する 「利用規約」 第13条第4項(1)以下に定められている項目
- ① 殺害・虐待・自殺・自殺行為を肯定・勧誘あるいは助長する又はその恐れのある内容(殺害・自殺の方法などを送信等する行為を含む)の送信等
- ② 過度に残虐又は暴力的な内容・動画・画像(イラストや絵画等も含む)の送信等
- ③ 社会通念上、不適切と解釈され、又はその恐れのある表現・内容の送信等
- ④ アダルト画像、動画を含む内容(イラストや絵画等も含む)の送信等
- ⑤ 著しく性欲を興奮させたり、刺激したりする内容・動画・画像(イラストや絵画等も含む)の送信等
- ⑥ アダルトサイト、出会い系サイト関連の表現・内容の送信等又はこれらのサイト等へのリンク
- ⑦ 性に関する表現で、わいせつな行為、対象を連想させるもの、その他卑猥な表現・内容の送信等
- ⑧ 健全な社会通念に反し、品性を損なうような行為、表現・内容の送信等
- ⑨ その他、一般的に他の会員や利用者が不快に感じる、又はその恐れのある表現・内容の送信等
のいずれにも該当致しません。
この絵は、菱川師宣により描かれた「春画」で、1681年頃の 「床の置物」 という書に掲載されているものであり、文部科学省のグローバルCOEプログラムの一環として、立命館大学のアート・リサーチセンターや国際日本文化研究センターその他から一般に向けて公開されているものです。
「グローバルCOEプログラム」 文部科学省
「近世春本・春画とそのコンテクスト」 立命館大学アート・リサーチセンター
従いまして、社会通念上適切と解釈され、アダルト画像、動画を含むものではなく、著しく性欲を興奮させたり刺激したりする内容でも、性に関する表現で、わいせつな行為、対象を連想させるものでもないと解されており、また、健全な社会通念に反し、品性を損なうようなものでもありません。
一部の会員や利用者が不快に感じるかどうかは、その方達の感性にもよりますので、分かりませんが、国や公共性の高い学術機関などが公に進めているものですから、「社会通念」 上、どちらの感性が適当と言えるのかは、わざわざ説明する必要もないと思います。
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この挿絵問題については、運営者もしくは新任の方が、このような国の文化的な活動を知らなかっただけのことと思われますが、性的なものを極端に嫌悪する 「クレーマー」 の対応も、迎合すれば良いというものではないと思います。
極端なことを言えば、御社のブログのカテゴリーにある 「他人に言えない恋愛ジャンル」 なんてものは、全てが 「公序良俗」 に反すると見なされてもおかしくありません。(苦笑)
また、何を以って 「わいせつ」 と判断するのも難しいもの。何を以って 「わいせつ」 と感じるかは、人によっても異なりますし、少なくとも、「わいせつ」 を取り締まる刑法でさえ、今までにも数多くの裁判によって、その内容が書き換えられてきているのです。
既に青空文庫化している江戸川乱歩の 「人間椅子」、「屋根裏の散歩者」 もそうですし、昔は発禁本となったこともある 「芋虫」 ですらも、自分は小学生のときに図書館から借りて来て読みましたし、現在ももちろん 「年齢制限」 すら、ついておりません。
春画は駄目だけど、ダビデなら良いのか?
ダビデも全体なら良いけど、これは駄目だとか(苦笑)
そんな不毛な議論は止めにして、結局は、芸術や医学分野もしくは学問的な話はOKという 「社会通念」 通りにしないと、逆に面倒になるだけではないですか。
必要であるならば、コンプライアンス的にも仕方ないでしょうが、必要以上のことをするために 「運営コスト」 を自ら高め、あまり几帳面になって仕事に励んだところで、自己満足でしかなく、褒めてくれないばかりか(クレーマーは褒めてくれるのかも知れませんが)、見返りは少ない部分です。
競合他社のブログサービスよろしく、文字的には、システムで機械的に確認した上で排除していると説明出来れさえすれば、良いのではないですか。
さすがにノーカット画像などの掲載など不適切な事例があるならば、さすがにマニュアルによる対応も求められるでしょうが、あとは警察や弁護士からの依頼の他、法務窓口に寄せられる権利侵害の事案等に適宜対応できれば、良いように思う次第ではありますが、
少なくとも、一度御社にて削除された画像につきましては、意図を汲み取り、モザイクやぼかしを入れる等、「大人の対応」 をしているつもりで御座います。
しかし何分と、その判断基準が解り兼ねるというのが、難点でございます。
御社に特別、嫌がらせや御社の業務を妨害するつもりは毛頭ございませんので、必要とあらば、ご指示を賜りたく存じますので、ご検討のほどよろしくお願い致します。