『おいで』という名前の猫 | 花と太郎

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ミニチュアブルテリアの花ちゃんとフレンチブリドックの太郎の話

花ちゃんはおバカで優しい子(*^^*)
太郎はやきもちや気で・・・
大好きな花ちゃんに少し嫌がられてます。

こんばんは。

     chobiです。
 
 
 
まだ、私が若いころの話です。
 
仕事が終わり、駐車場へ向かう道に子猫がいました。ニャー、ニャーと鳴きながらついてくる猫に「まだ、おるんやね。」と声をかけながら数日が過ぎ、あの日は雨が降っていました。
とうとう「私の家においで~。」と連れて帰りました。
 
その猫が最初に覚えた言葉は「おいで~。」でした。
「おいで~。」と、言うとついて来るので、名前は『おいで』にしました。
 
『おいで』は私が近所の自動販売機まで行くときも犬のように後をついてきました。私が買い物に出かけている間に近所を散歩して玄関で待っていることもありました。
 
『おいで』は綺麗な賢い猫でした。イタズラや粗相をした記憶はありません。玩具を投げると必ず持ってきました。
『おいで』と夏を迎え、秋を一緒に過ごし、お正月には車とフェリーに乗って実家に帰省もしました。
『おいで』は私の言葉や私が喜ぶことを理解してたように思います。そして、『おいで』はいつも尻尾をピンと立てて、生きることを楽しんでいました。
 
1月28日、私は仕事でした。
休みだった夫が用事で家を出るときに、『おいで』はいつものように散歩をしようと一緒に玄関を出たそうです。
でも、夫が帰って来たときには『おいで』は玄関の前で死んでいたそうです。
 
「近所で野良猫が畑を荒らすからと毒を撒いていた。」「あの畑で野良猫が死んでいた。」と、後に噂を聞きました。
 
1月28日の朝、『おいで』は猫の缶詰を欲しがりました。私は缶詰を夕方に食べさせようと思い、ドライフードしかあげませんでした。
仕事を早退して急いで帰ったときには『おいで』はもう冷たくなっていました。
今でも猫の缶詰カルカンを見ると『おいで』を思います。
 
その日は2回目の結婚記念日でした。
夫が買ってきた花は飾られずそのままテーブルの上に置いたままになっていました。
 
私が今よりもっとバカな頃の話です。
 
 
 
『おいで』の首につけていた鈴です。
 
数十年が過ぎました。
引っ越しもしました。
今でもこの鈴は綺麗な音がします。
私の大切なものです。
私の心には『おいで』が生きています。
 
 
 
『おいで』、いつか会ったら「あの時は本当に苦しかったよ。」って怒るかしら。
それでも『おいで』は再会を喜んで私の後を尻尾をピンと立てて、ついて来るような気がします。