子どもの頃うちには雛人形がなく、友達の家にある綺麗な雛人形をみてはうっとりしたものだ。
すごく欲しかったわけではないが、姉妹なのになぜ雛人形がないのか不思議だった。
(絵本やテレビをみていると女の子の家にはみんな雛人形があるのが当たり前のような感じだったので、子どものわたしはみんな待ってるものだと思っていた)
母に聞くと、「そうねぇ、うちにはないけど‥ひなあられでも食べようか」と話を逸らされた。
その時は「ふーん。」
という感じでその返答を深く追求することもなく、大好きなひなあられを食べて満足していた。
今だと色々察することができる。あの時あれ以上聞かなくてよかった。
自分の孫が産まれて母が言っていた。
「雛人形買ってあげたい」
母は幼い頃の私たちに雛人形を買ってあげられなかったことを申し訳ないと思っていたようだ。
お断りしたが、母の意思は固く、どうしても!!というので好意を受け取ることにした。
遠慮しないでちゃんとしたの選んでね!!(ちゃんとしたのという定義が難しいが、母からすると昔からあるお人形屋さんで買うというイメージらしい)と言われたが‥
母の楽しみとは分かっているものの、高額なものを買ってもらうのは気が引けた。
でも納得してもらえるような可愛らしい雛人形‥
必死で探した!!ネットもお店も一通りみた。
あった!!娘にそっくりな感じの!
小さめでお手頃で、でもずっとこの先も毎年気兼ねなく飾っておけるような可愛らしい雛人形をみつけた。
母にも写真を送り、「あら、かわいいね!!」と言ってもらえた。
「お母さん、ありがとう!大事にして毎年飾るからね」と伝えたら嬉しそうにしていた。
よかった。母も嬉しい、私たちも嬉しいならそれがいい。
今年も我が家の雛人形はそっと微笑んでいる。