3年ほど前のこと。
右膝がパンパンに腫れて曲げられなくなった。
激痛で歩行困難が著しく、150m先のスーパーマーケットに行くのも地獄だった。
85歳のお婆さんから「大丈夫?」と声をかけられるほどヨレヨレだった。
その時も私は「湯船に浸かりたい!」と熱望した。
足は最悪な状態だったが、手は比較的マシだったこともあり、スティック付きのたわしで浴槽を洗って湯を溜めた。
で、いざ入ろうとして、それが「不可能」なことに気付いた。
ボロ団地の浴槽は床にダイレクトに置かれているので淵が高い。
それがどう頑張っても跨げないのだ。
いや、死ぬ気でやれば(あん馬の要領で?)入れるかもしれないが、出る時はどうする?
10分ほど考えあぐねたすえに、夢を静かに諦めた。
そして、なみなみと張ったお湯をすくって全身を洗った。
ちょっと泣いた。