たばことお金をめぐる問題は止むことが無かった。
祖母も周囲の人間も、我慢や 疲れがピークだった。
そんな時、ある出来事が起きた。
あの日は雨だった。
父は仕事の関係で祖母の家の近所にある海の近くのビルへ車で向かっていた。もうすぐ着くというところで、父は何気なく海の方を見たという。
するとそこには、傘もささずにずぶ濡れの祖母が、海から少し上の岬に佇み、じっと海を見ていたという。
父は慌てて車を飛び出し、祖母をそこからおろして保護したらしい。
私はその日、初めてあんなにも落ち込んでいる父を見た。
祖母がそんなことをした理由はわからないが、このまま祖母が一人の時間を増やすのは危険だということは確かだった。
この頃から祖母は怒りっぽくなった。
どんなに怒っても私にだけは優しかった祖母が、私にまでイライラするようになった。認知症と診断されてから処方されていた薬もスムーズに飲まなくなっていた。
ある日、祖母はその薬をイライラして床にばらまいた。それを見た父は怒って、祖母の耳を強く引っ張り激しく怒鳴った。父は気が短いため、私や母が何を言っても怒鳴るのをやめなかった。
祖母は泣いていた。
父はその日からずっと、あの日のことを悔やんでいる。
これらのことをきっかけに、祖母が入院することが決まった。
入院先は精神病棟だった。
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