かれこれ20年位になるのだろうか。
ボランティアという立場でブドウ栽培やワイン醸造に携わる様になり、5年前からは生業としてきました。経験だけは17年目。そもそもブログをはじめようと思ったきっかけも、ワインというお酒を少しでも発信してみんなに知ってほしい事や自分の活動の記録として残せるからというのも目的でした。気が付けば、ワイン生産者にもそれなりに名前が知れ、憧れの生産者と一緒に活動したり、飲み手側だった自分としては夢のような時間が続いています。しかし、幸せな気持ちもありながら、解消されない疑問が延々と付きまとってきます。
「作って満足じゃ、何も変わってないじゃん」
あーそうだよ、そうだった。
自分の目標ってワインの消費をもっと増やして、みんなが楽しんで飲めるお酒にしたいという根底があったハズだよ。どこからかワイン好きな自分が全面に出すぎて支配されちゃっていた。
北海道に限って言うと、ワインの生産者って70を超える程増えちゃいました。もう余市町あたりは場所を探すのも大変な状況に陥っているほどのワイナリー誕生ラッシュで、生産者名を覚えるのも大変。醸造施設を持ってないヴィンヤード、個人愛好家的な物を含めたら100ぐらいになるんじゃないかと。
国税庁が出している「令和6年度 酒のしおり」を軽く読んでもわかるけれど、卸業や小売業は緩やかに減少しているのに対して、生産者はものすごい勢いで増えています。実態としてはリキュールやどぶろくといった地域特化型の酒造場が増えているとの事ですが、果実酒は平成24年から令和4年にかけて倍増しています。実際に日本の人口≒消費人口として考えても、消費は落ち込むのは目に見えて当然の話ですし、近年の若い世代はお酒を飲む機会が減っています。ここ20年以上、1人当たりのワイン消費量って未だに3.4L=4.5本と横ばいなのに、生産者ばっかり増えている状態です。みんな作り手に憧れすぎて、その先の事を考えていないのは酷いと感じました。これについては後述します。
政府としても「酒税」という財源を得る事ができるので様々な補助金事業などを通じて生産者を支援するなどの措置を講じていますが、現場としては焼け石に水だと感じています。設備投資などに使える某補助金を例に出すと、3分の1は自己負担となりますので、300万円の設備を買いたくても100万円は自己負担になるので資金力がない規模の生産者は商品にかなりの価格転嫁を必要としますし、結果としてワイン1本3000円となった場合、特定のワイン好きは買ってくれてもライト層には届かないんです。そんな苦労をしてワインを作って、特定の生産者だけの小さなパイを奪い合いしている現状をこの目で見てきました。
ワインのイベントも、参加者側から主催者側として見始めて分かった事は、特定のファンが毎回幅を利かせて居る事。
これは薄々感じていましたが、どのイベントに行っても必ず顔を見せてくれる方が多く、生産者とも仲良しの為に会話が盛り上がってしまい、他の参加者もお話しをしたくても入り込みずらい状況、というのを何度も何度も何度も何度も(大切なことなので色も変えちゃう)目にしてきました。もちろん、こういった方々には盛り上げ役としてどんどん参加してもらいたいのも事実ですが、自己満足じゃなくて、発信する側にもなってほしいと感じました。「〇〇〇のワイン飲んだ!」というSNS用写真を撮るだけな自己満足ステータスの為にライト層をないがしろにしないで欲しいという想いも。味を見ろ、味を。
閑話休題。
ある日、ちょっと過去の自分を見返してみる機会があったのですが、ワインを生業にして最初に目にした現実は恐ろしい程の“どんぶり勘定”な販売計画。一か月に100本も販売出来ないのに、経営が成り立つのか?資金があるうちは何とかなるだろうけれど、枯渇したときに破綻するのは目に見えている。こういった作って満足の生産者や生産者になりたいという人が多い事多い事。二言目には「コロナが収まれば何とかなる」発言。んなわけあるかボケ。
業界全体にも言えるのですが、そもそも国内の消費量は増えていないのに供給ばかりが先行してしまい、販売方法をあと回しにするのは自殺行為に等しいと感じました。いまこの業界に必要なのは、消費量を増やす事。名前は伏せますが、その為の組織や活動をしている人はたくさん居ますが、そういう人達も何となくですが最初の目的がブレて今は情報の発信や自己満足に走り始めている。それでいいのか?自分もそうじゃないか?
「ゴールってどこだった?」
そう。自分のゴールは業界を盛り上げる事。作り手側でもできない事じゃないんだけど、今、ワイン業界に必要なのは消費の下地を作る事。それはワインだけに限った事じゃない。様々な酒類の消費が根底にあって、その中の1つがワインであればよい。モノを売るって簡単じゃない。
こんなブログですが、作り手になってからも数多くの方々に「ブログ見てますよー」「勉強になってます!」という暖かいお言葉をたくさん頂きました。なんと失礼な事をしていたのだろう。みんなに飲んでほしいって発信していたブログが通じていた事が嬉しい嬉しい。そうだったなぁー。自分のゴールってワインの消費を増やして業界を盛り上げる事だった。盛り上げるだけだったら、勝手に師と仰いでいる人の1人、先般亡くなってしまったTAKIZAWAワイナリーの滝沢さんみたいに、ある程度の年齢になってからでもスタートできるんだ。だったら、今自分がやるべきことは市場を醸成する事じゃないか、ワインの醸成はそれからで良いんだと気が付きました。
作り手としては秋にボランティア的な活動で続けていきますが、今自分が必要だと感じた事は消費を増やす事なので、来年からは酒販の会社へ転職して、販売の経験をもっと得ようと思います。少しお金を貯め20年ぶりに渡仏して、もう一度勉強したいとも考えています。定年退職してからでもワイン造りできるし、その頃には独立してワイナリーを作ろうかなと。
また、今現在ちょくちょくとコンサル的な仕事のお話も貰えていますので、そういう活動も。
という事で、来年からは「3足の草鞋」を履いての活動となります。
実際に製造の現場を知っている人が販売部門に居るのは武器になるよ、と年明けからお世話になる予定の偉い方からもお墨付きを頂きました。この武器を使って市場を活性化し、消費を増やすという永遠のテーマにも挑戦したい。俺の人生、挑戦ばっかりだな。
本業をコロコロと変えますが、来年もワインを作り、コンサルもやって、ブログの更新頻度をどうにかしたいと思います。
みなさま、よきワインライフを。