霧雨 | アマヤドリ

霧雨


肺を満たすんじゃないかと思うくらいの霧雨に打たれながら帰った。
低くたれ込めた雨雲のにおいをおなかいっぱい吸い込んでふいに、もの哀しい気持ちになった。
きっと浮かび上がりかけた記憶のせいだと思うのだけれど、それは表面に顔も出さず波紋も広げないうちにまた潜行していってしまった。
誰にも触れられないところへ。

インディアンの娘みたいに美しかったならな。
くっきりと輪郭があって、裸足で立ってる。
雨は雨だし、風は風、わたしはわたし、みたいに。

なんでこんなにぼんやりとにじんでるんだろ?
何も激しく吐けないままじゃ、なにかを愛したりもできない。

*

『アルプスの少女ハイジ』を読んでる。
本が好きなんだと言ったら友人がくれたから。
これと『やかまし村の子供たち』も送ってくれた。
私がムーミンを好きだと言ったからこのチョイスなんだろうな…。ハイジなんて久しぶり。

昔ときどきハイジに似てるって言われた。
裸足で走りそうなところやよい子そう(あくまでよい子「そう」)なところがかな。

器にあたたかいやぎのミルクを絞って飲んだり、チーズをあぶって溶かしてパンに挟んだり、小さくくりぬいた窓から星を眺めながらほし草に寝るのがすごく羨ましかったなぁ…。