プラットホーム | アマヤドリ

プラットホーム

もくもく雲の下、ホームの先端で男の子が「電車きた!うふふっ」とはしゃいだ。
本当にうふふっと笑った。
おなかの大きいお母さんがわが子をビデオで撮っている。
ぴょこぴょこ興奮さめやらぬホームにまた電車。
1台見逃して、うしろすがたまで見送る。

男の子の今の一瞬とまだおなかのなかにいる生まれていない子供の今。
男の子はきっと大きくなるし赤ちゃんは生まれてくるしお母さんのおなかはしぼむ。
だけど私にとってこの親子はずっとこの「電車きた!うふふっ」のまんまるオナカの陽だまりの瞬間なわけで永遠に更新されることはないし、あのビデオを観ることもない。
俺電車がなぜか好きだったよなぁと思い出す光景は、まぶたをあたためる太陽のせいで私が記憶する姿ほどはくっきりしていないだろう。

そして私はプラットホームの男の子を見送る。