削る
雨がいろんなものを洗ってさらってゆくのが好き。
あるひとに倣ってある本に付箋を貼りながら読んでみている。
閉じてみるとまるで生えかけの羽根みたいだ。
音楽をつくることとは世界にある音を削ることだと書いてあった。
他の本でも平行して最近同じことをきいた。
文章を書くことはことばを削ることだと。
じゃあわたしは?
削るそのおおもとが立ち上がらない。
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個人性はひとりの人間のなかに常住しているのではなく、人と人との、人と自然との、人と都市との出会いの瞬間瞬間に、まるで結び目のようにして、かたちづくられてくるものだ。エゴよりもずっと巨大な何かの力の場のなかに、それは永続性のない結び目として、たちあらわれてくるものだ。結び目はいったんできあがると、ふたたび解かれ、また別の結び目との出会いのなかに動きだしていく。
~中沢新一『ケルビムのぶどう酒』
