まつぼっくり | アマヤドリ

まつぼっくり

昼間、旅から帰ってきた父と母から「お土産あるよ」というメールが届いていた。
うちに帰って私のために残されていたご飯を片付けながら(なにしろ今日はお肉をたくさんたべたからもう入らない)ふと食器棚を見ると、大きなまつぼっくりがちり紙にくるまれて置かれていた。
とても、とても大事に。

もちろん、お土産とはこのまつぼっくりではないだろう。
でもまつぼっくりを見たその瞬間、私は「お土産あるよ」という父のことばをすぐに思い出した。
ちゅんへのお土産ならわかるけど私へだったならすごく可笑しい、と思わずにやつきながら、なのにきゅうに胸が締め付けられるみたいに、切ないみたいになった。
いとしいかなしい、みたいにかな。


ずっと好きなこともろくにせずに働いてきた父とおうちを守ってくれた母。
一度だけ行ったヨーロッパのビデオを10年間も見続けていたり。
会社でおやつに出たおせんべい一枚を家に持って帰ってきてくれたり。
手厳しくて全然愛情をまるだしにはしないのに、近所の赤ちゃんを抱く手がとてつもなくやさしいことに気付いたり。


いつもこういう時に感じるこの感情は、なんだろう。
両親がほんのちいさなことを大事にしているのをまのあたりにしたときに感じる、この気持ち。


誰かこの気持ちになまえをつけて。

ううん。
やっぱりつけないで。


まつぼっくりはちり紙に包まれてそっと棚に、あたたかそうに落ち着いている。