輪郭
自分が思う自分とほんとうの自分のあいだにはこんなにもおおきな隔たりがあるのか…と感じることばかり。
からだが思うように動かないこともそうだし、そこからつきつめてゆくいろいろなことがもうとことん。
もっと自由で、もっと頑強で、もっと寛容で、しなやかだと思ってたのに。
なんじゃぁーこのぺらぺらで脆い様子は。
情けなや。
いつから、なにから、この私ってこう。みたいな膜を張っていたんだろうな。
わたしのまわりにではなくて、私の知覚のまわりにそれをはってたみたい。
こうありたい。
こうあれば言い訳できる。
こうあればみないでもらえる。
それはそれでそんなに悪いことじゃないかもしれないけど、自分の目をふさぐほどの誤魔化しをしてはいけなかったのだなぁ。
積み重ねたものよりも、剥がれ落ちたもののほうがうんと多いような気がするこのごろ。
***
父がトトロの樹と呼んでいる樹をくぐった。
その樹でのんきに声をためしていた鳩(これはふくろうじゃないよ、と今でもひとりごちてしまう)がひたと鳴き止んだ。
見上げた高さをヒヨドリが口をつぐんだまままっすぐに飛び去った。
来た方向から早い夕日が真っすぐに目に差し込む。
瞳が薄く透かされて、すべてのものは輪郭をはじかれている。
なにも聞こえない。
椿の赤と緑がうんと透明なほかは。
